先週の中国株式市場
―香港株 上昇が一服 銀行の資金調査や大手銀行の売却などを嫌気―


<先週の概況>

先週の中国株式市場は下落しました。ハンセン指数は2%余り下落し、2万7,424ポイントで終了しています。また、上海総合指数は約1%の下げとなり、4,611ポイントと上昇が一服しました。

先週のハンセン指数は、休場明け26日には中国本土と香港の投資ファンドの規制緩和で続伸スタートとなったものの、中国の銀行に対する資金流入実態調査が行われたことに加え、中国国有投資会社の中央匯金投資が、保有していた中国工商銀行と中国建設銀行の株式を売却したことも相場の重荷となり、その後は下落が続きました。


中国株式市場バリュエーション




業種別リターン



香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

多くの銘柄が下落するなかディフェンシブとされる小売関連の銘柄に買いが集まりました。中国蒙牛乳業(チャイナ・メンニウ、食品、2319)は週間で3%超上昇し、ハンセン指数の採用銘柄の中で上昇率トップとなりました。また、中国旺旺控股(ワンワン・ホールディング、食品、0151)も約1%高と堅調推移となりました。さらに、特段の材料は見当たらないなかで中国の果汁飲料最大手である匯源果汁(チャイナ・フイュアン・ジュース・グループ、1886)は大きく買われ、週間で32%超上昇しました。

<下落>

中国の銀行に対して資金流入実態調査が行われたことを受けて、中国系の大手銀行株が概ね軟調に推移しました。中国工商銀行(1398)は週間で0.7%下げたほか、交通銀行(バンク・オブ・コミュニケーション、3328)も週間で約2%値下がりしました。また、米国の年内利上げ観測を背景に、香港系の恒隆地産(ハンルン・プロパティーズ、不動産管理・開発、0101)は週間で4.3%下落しました。中国海洋石油(CNOOC、石油・ガス・消耗燃、0883)は27日に南シナ海東部海域で中型の新規油田を発見したと発表したにもかかわらず、国際原油価格の続落が嫌気され、週間で4%超下落しました。さらに、百麗国際控股(ベル・インターナショナル・ホールディングス、繊維・アパレル、1880)は、一部メディアが伝えたアリババと提携契約を締結との観測報道を否定したことが嫌気され、週間で11%の下落となっています。

先週発表された主な経済指標

特に重要な経済指標の発表はありません。

今週の主な経済指標

6月1日 中国製造業PMI 5月 50.2 市場予想 50.3 前月 50.1

5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2と、市場予想の50.3を下回ったものの、前月の50.1から若干改善しました。俯瞰してみると、市場予想に届かなかったものの、前月よりわずかながら改善があったことは5月上旬に行なわれた一段の悪化を食い止めるための利下げがある程度功を奏したと考えられます。

内訳をみると、新規受注(50.2→50.6)や、生産(52.6→52.9)雇用(48.0→48.2)は改善した一方、在庫が前月から横ばいとなりました。




マーケットビュー
―ハンセン指数、強弱混じる材料で一進一退か IPOラッシュで需給悪化が懸念―

先週の香港市場ではハンセン指数が1週間で2%安と2週間ぶりに下げました。休場明け26日には中国本土と香港の投資ファンドの規制緩和で続伸スタートとなったものの、その後は下落が続きました。中国の銀行に対する資金流入実態調査が行われたことに加え、中国国有投資会社の中央匯金投資が保有していた中国工商銀行と中国建設銀行の株式を売却したことも相場の重荷となり、3日間でハンセン指数は計800ポイント超の下落となりました。

強弱材料が混じるなか、今週のハンセン指数は一進一退が予想されます。とりわけ、6月2日から3日まで中国で23社の新規上場(IPO)が予定されており、需給悪化懸念が相場全体の重石となりそうです。ただ、新華社(中国の国営通信社)が5月31日に報じた「リスクフリーレートが低下傾向にある中、投資家の株式への資産配分がまだ相対的に低く今後の株式への配分増加が期待できることや、海外資金が流入しつつあることが今後の上昇要因となる」との記事や、6月1日に発表された中国製造業PMIが50.2と前月から小幅ながら改善したことなどが支援材料になるといえます。ハンセン指数は先週に25日移動平均線を割り込んだものの、5月の安値(2万7,191ポイント)や心理的な節目である2万7,000ポイント近辺では引き続き底堅さがみられそうです。

なお、個別企業決算では、1日に小売の大手である華潤創業(チャイナ・リソーシズ、食品・生活必需品小売、0291)の第1四半期業績発表が予定され、注目されます。

フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)

■ご留意いただきたい事項

当画面でご案内している内容は、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等に関連しますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。

当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

■ご留意いただきたい事項

・当社は、本レポートの内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。
・記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。
・過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
・提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
・当社は本レポートの内容に依拠してお客さまが取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。
・投資にかかる最終決定は、お客さまご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
・本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。
・内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。