先週の中国株式市場
―香港株 中国IPOラッシュをきっかけに上昇が一服―


<先週の概況>

先週の中国株式市場は大幅に下落しました。ハンセン指数は約2%下落し、2万7,577ポイントと2万8,000ポイントを割り込みました。また、上海総合指数は5.3%下げとなり、4,205ポイントで引け、先週から200ポイント超下げました。

先週のハンセン指数は、中国のIPOラッシュで需給が悪化したことに加え、信用取引の規制強化や印紙税の引き上げ観測が浮上したこともあり、週間で550ポイント余り値下がりし8週間ぶりの反落となりました。


中国株式市場バリュエーション




業種別リターン



香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

小売関連の銘柄が概ね堅調に推移しました。中国蒙牛乳業(チャイナ・メンニウ・デイリー)は先々週の大幅下落の反動から5%近く上昇しました。また、カジノの金沙中国(サンズ・チャイナ)は第1四半期の業績が市場予想を超えたことで大きく買われ、週間で4%近く上昇しました。

<下落>

恒隆地産(ハンルン・プロパティーズ)が10%近く下げたほか、華潤置地(チャイナ・リソーシズ・ランド)も5%以上値下がりしました。そのほか中国インターネット大手の騰訊HD(テンセント)が4%を超える下げとなっています。

先週発表された主な経済指標

5月1日 中国製造業PMI 4月 50.1 市場予想 50 前月 50.1

4月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1と、前月から横ばいとなりました。2か月連続で好不況の分かれ目である50を上回っていますが、先々週発表され48.9と50を割り込んだHSBC製造業PMIとの間には乖離があり、中国製造業の状況はまだ楽観的とはいえないと考えられます。

指数の内訳を見ると、4月の中国製造業PMIの各構成指数はまちまちでした。生産は前月の52.1から52.6に上昇し、在庫も前月の48から48.2に改善しました。一方、雇用が前月の48.4から48に低下したほか、海外新規輸出受注も前月の48.3から48.1に悪化しました。


5月8日 中国貿易収支 4月 +341.3億ドル 市場予想 +396.0億ドル、前回 +30.8億ドル
輸出 4月 -6.4% 市場予想 +2.9%、前回 -15%
輸入 4月 -16.2% 市場予想 -9.8%、前回 -12.7%

4月の中国の輸出は前年比6.4%の減少と、2.9%増の市場予想を大幅に下回りました。また、4月の輸入は9.8%減を見込んでいた市場予想を下回り、前年比16.2%減と減少率が拡大しました。こうしたなか4月の貿易収支は 341.3億ドルの黒字となりました。

輸出については、「中国輸出金額の推移 地域別 」のグラフを見ると、4月の各地域向けの輸出は前月から回復したものの、米国向けを除き昨年の4月よりも水準は下回っています。輸入については前月に続き、鉄鉱石や原油などの輸入数量が増えたものの、輸入価格の低下傾向が鮮明でした。輸入の冴えない結果は中国の内需の弱さを示しています。



5月9日 生産者物価(PPI、前年比) 4月 -4.6% 市場予想 -4.6%、前回 -4.6%

4月の中国生産者物価指数(PPI)の前年比は4.6%減で、38か月連続でマイナスとなりました。内訳をみると、特に非鉄金属材料の輸入価格が前年比11.5%下げたほか、燃料関連の輸入株価も11.2%低下しています。



5月9日 消費者物価指数(CPI、前年比) 4月 +1.5% 市場予想 +1.6%、前回 +1.4%

4月の消費者物価指数は前年比1.5%増と1.6%増の市場予想を下回りました。食料CPIが2.7%の上昇となる一方で、食料を除くCPIは前月から横ばいとなっています。



今後発表される主な経済指標

5月13日 固定資産投資(前年比) 4月 市場予想 +13.5%、前回 +13.5%

固定資産投資額は、農村部を除いた都市部の建築工事や設備工事費を集計したものです。不動産関連の固定資産投資額の減少傾向が継続する限り、製造業、建設業などの固定資産投資が堅調に推移しても全体の固定資産投資額は伸び悩む可能性が高いと思われます。4月の固定資産投資額は前年比13.5%増と見込まれています。


5月13日 鉱工業生産(前年比) 4月 市場予想 +6.0%、前回 +5.6%

4月の中国製造業PMIが前月から横ばいとなったほか、内訳の生産指数も前月の52.1から52.6に改善しました。こうしたなか、4月の鉱工業生産は前年比6.0%増と見込まれています。


5月10日〜15日 マネーサプライM2(前年比) 4月 市場予想 +11.9%、前回 +11.6%

4月の貿易収支は341.3億ドル超の黒字となったほか、中国人民銀行(PBOC)の政策スタンスがやや緩和的にかわってきたことから、4月のマネーサプライM2(前年比)は前年比+11.9%と、前月から小幅に上げ幅が拡大すると予想されています。


マーケットビュー
―ハンセン指数、中国の再度利下げで買い先行か 鉱工業生産などに注目―

先週のハンセン指数は、中国のIPOラッシュで需給が悪化したことに加え、信用取引の規制強化や印紙税の引き上げ観測が浮上したこともあり、週間で550ポイント余り下落し2万8,000ポイントを割り込み8週間ぶりの反落となりました。

しかし、先週のハンセン指数は2%の下落となったものの、25日移動平均線でサポートされています。そうしたなかで中国人民銀行が10日、政策金利である銀行の貸し出しと預金の基準金利0.25%の引き下げを決めたことが今週は支援材料となりそうで買いが先行しそうです。また、先週中国のIPOの申請で凍結されたIPO資金が徐々に解除されたことも需給面ではプラスです。

週後半は鉱工業生産や、固定資産投資など経済指標の発表が相次いで行われことから、これらの指標を睨みながらの展開となりそうです。最近は冴えない経済指標の発表が目立つことから、こうした経済指標に対してのネガティブな反応には注意が必要です。

フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)

■ご留意いただきたい事項

当画面でご案内している内容は、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等に関連しますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。

当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

■ご留意いただきたい事項

・当社は、本レポートの内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。
・記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。
・過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
・提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
・当社は本レポートの内容に依拠してお客さまが取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。
・投資にかかる最終決定は、お客さまご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
・本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。
・内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。