兵庫県の神戸常盤(ときわ)女子高校が「トキワACT」と呼ばれる週1回の農業の授業を導入したことで、生徒が劇的に変わったというストーリーをお届けしています。前回(「教育界が注目、農業の授業で女子高生が目覚めた!」)から続けてお読みください(文中敬称略)。

 奇跡は、2013年6月13日に起こった。

 この日、神戸常盤女子高校キャリアコースの生徒たちは、神戸市街から最も近いゴルフ場である、兵庫区島原町にある菊水ゴルフクラブに向かった。同ゴルフクラブ内には、ブルーベリー園と馬の牧場がある。同クラブの北野オーナーが以前からやりたくて、夢を実現しようと考えて作ったそうだ。

 まずは景色の良いラウンジで昼食を取り、農園に向かう。農園に着くと北野オーナーが話す。今年は毛虫にやられて生育はあまり良くないと説明したが、初めて見るブルーベリーの木に生徒たちは興味津々だ。

 生徒は30分間雑草を引く仕事をした。それから牧場に行き乗馬経験をして、馬に餌をやりレストランに行く。レストランで北野オーナーは概略以下の話をしたという。

「好きなこと(やってみたいこと)に熱中しよう」

「夢を、あきらめないこと」

 キャリアコース担任の友井基浩は、オーナーはごく普通のことを話しているように思えた。しかし、生徒の評価は違った。その通りだと思った生徒たちは、この日を境に目つきが変わり、クラスの雰囲気も変わった。