前回(こちらを参照)に引き続いて、五神眞・東京大学新総長と、1つ前の理学系出身総長である有馬朗人教授、そのまた1つ前の理学系出身総長である山川健次郎教授と、過去3代、約100年にわたって伏流水のように続いてきた理学部物理学科~旧制&新制武蔵高等学校の人材育成、とりわけ創造的な科学者や表現者、開発者をコンスタントに輩出してきた裏側を、ご紹介してみたいと思います。
首都圏在住で、子供に将来、クリエイティブな人生を歩ませたい、と思う親御さんは、子供に武蔵中学を受験させるケースが少なくありません。
例えば、選挙報道でも引っ張りだこだった元NHKアナウンサーの池上彰さんは、ことあるたびに武蔵高等学校のメリットについて発言され、実際、息子さんを武蔵に進学させています。
トロンで知られる坂村健さんなど創造的な科学者・エンジニアも数多く息子さんを武蔵高等学校に進ませていいます。
坂村さんは長年、東大で学生指導に当たってきた方ですので、大学受験で東大にパスした段階を出発点に膨大な数、30年来の東大生の変化、推移を見てこられました。その中で我が子がのびのびと成長し、オリジナルな人生を歩める場として、当然お子さん本人と相談したうえと思いますが、武蔵高等学校を選んでいます。
「知と創造のプロなら、わが子の進路として選びたい武蔵高等学校」
そこではいったい、どのような教育が施されているのでしょうか? また、どうして非常に高い率でクリエイティブな人材が育つのでしょう?
創造性をつぶす教育:命令に疑念を出ださせない軍人育成
「創造性を伸ばす教育」なんてあるか? と問われれば「当然あります」とお答えせざるを得ません。
逆に言うと、確実に「創造性をつぶす教育」もあります。子供のクリエイティブな芽を摘むには、こういうことを繰り返していれば、まず新しいものは出てこない、というような。後者の方が分かりやすいですね。
「創造性」の芽を摘むには、創造させなければいい、すでにあるものの丸暗記や反復だけに価値を置き、それができたときは誉めるなどして味を占めさせ、そうでない新しいものは一切拒絶するように仕向けてゆけば、非常に高い確率で「反復模倣」だけを繰り返すようになります。