「Daag!(ダーグ!)」(行ってきまーす!)
朝、8時。家のドアを勢いよく開け、近所の子供たちが外へと飛び出して行く。家の中から、誰かが何か声をかけているようだが、そんなことに耳を貸す気配もなく、門の前にとめられた自転車にまたがるなり、ものの数秒で彼らは走り去ってしまった。
なぜ、そんなに急いで家を後にするのか。それは、学校に早く到着したいがためである。授業が始まる前に、気の合うクラスメートとひと遊びしようというわけだ。
宿題なし、時間割なし、荷物を持たずに行ける小学校
オランダの小学生に対して「学校は楽しい?」と尋ねると、そのほとんどが「ヤー!(うん!)」と、瞳を輝かせながら返答してくれる。朝になるのが待ちきれないほど、面白くて仕方がない小学校とはどんなところだろうか?
まず、オランダの小学校には制服がない。持ち物に関する規則もない。教科書やノート、筆箱などを入れる鞄を持参する必要もない。また、昼食は帰宅して食べるため、お弁当を持っていく必要もない。
時間割がない。基本的には宿題もない。登校時間はあるにはあるが、厳格に守る必要はない。これだけ「ないない尽くし」であれば、楽しいに決まっているだろう。
鞄を持たず手ぶらで学校に行けるのは、教科書やノート、筆記用具などはすべて学校から支給されるためである。
時間割がないのは、子供たち自身で決めることが許されているからだ。担任が決めたノルマ(ワークブックの指定箇所など)を、子供たちが自分のペースで期限内(普通は1週間以内)にこなせばそれでよい。
登校時間は、午前8時半”頃”と、時間に余裕が持たせてある。これは朝の忙しい時間帯に、親にも子供にもストレスを与えないための配慮だ。しかし、遅刻する子供がまずいないのは、楽しいこと尽くめの学校へ行くのが待ちきれないからだ。
5歳児にして「落第」、それを誇りに思う親
初等教育は、5歳(4歳からの登校も可)から12歳までの子供が対象だ。義務教育開始年齢である4~5歳のこの時期こそが、子供たちの「将来性」をある程度知るために、もっとも大切と考えられている。