マット安川 3万件超の夫婦・家族問題に取り組んできた池内ひろ美さんを迎え、高齢者を対象にした家族問題や結婚・離婚トラブルの現状について、解説いただきました。

夫婦喧嘩の根本原因は互いが信じる「正しいこと」の食い違い

池内 ひろ美(いけうち・ひろみ)氏
夫婦・家族問題評論家。東京家族ラボ主宰。結婚と離婚、恋愛、親子関係などのコンサルティングを行なう。新聞社系文化センター講師を務めるほか、マスコミ出演も多い。『男の復権』『妻の浮気』『結婚の学校』『良妻賢母』など、著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

池内 夫婦問題のご相談は年が明けると決まって増えます。お休みで一緒に過ごす時間が長いと普段なら気にならないことが気になったりして、トラブルが起きやすいんです。

 例えば大掃除をしますよね。そこでご主人が、どうも僕のほうがたくさんやらされている気がする、彼女は楽をしているんじゃないか、と首を傾げたりします。普段は掃除なんてしないからというのもあるように思いますけど、そういうことをきっかけにトラブルに発展するわけです。

 年末年始に浮気がバレるケースも目立ちます。いつもは仕事で外に出ている間に携帯電話でやりとりができますが、お正月はそれができません。家にいながら肌身離さず携帯を持っていたり、ちょっと出かけると言って1時間も2時間も帰ってこなかったりすれば、奥様に気づかれて追及されるのも道理でしょう。

 夫婦喧嘩の原因はご夫婦によって千差万別ですが、ひとつ言えるのは互いに自分だけが正しいと思っているから喧嘩になるということです。それぞれ違う家で育つ中で身につけてきた「正しいこと」が食い違うんですね。

 例えばお金の使い方です。貯金をしてから物を買うのが正しいという考え方もあれば、必要で有用な物は先にカードで手に入れたほうが合理的という考え方もあります。どちらも間違いとは言えないのに、自分の正しさばかりを主張し合うから喧嘩になる。相手も間違ってはいないのではないかと考えてみることが大切です。

妻が不倫に走るのは夫が女性として大切にしてくれないから

 不倫をテーマにしたテレビドラマが多いのは高い視聴率を取れるからで、それは世の中にそういうニーズが存在することの証しです。実際、世の奥様たちの中にはご主人とは違う男性と恋をしたいと思っている方がとても多くいらっしゃいます。

 セックスではなくて恋がしたいんです。ドラマを見ることでそういう気持ちを昇華させているおかげで本当には不倫せずに済んでいる方も多いはずですから、その種のドラマを不道徳でけしからんと切り捨てるのは考え物です。

 奥様たちが恋に走る理由は単純です。ご主人が女性として大切に扱ってくれないから、それだけです。これは女性と男性の決定的な違いですが、女性はパートナーが大切にしてくれていればよそを見たりしません。しかし男性はいくら大事にされようが、あちこちに目が行きます。