本記事は12月16日付フィスコ企業調査レポート(エレマテック)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
浅川 裕之
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優れた商材、オペレーション、独立性によって業績成長が安定

 エレマテック<2715>は電子材料を得意とするエレクトロニクス商社。2009年に高千穂電気と大西電気が合併して現在の姿になったのち、2011年度から豊田通商<8015>グループ入りした。2014年12月には産業機器分野の増強のために(株)トムキを吸収合併した。

 エレマテックの強さは業績に如実に表れている。ITバブル崩壊とリーマンショックという経済の大変動時を除いてほぼ一貫して収益が成長を続けている。「業績が安定」なのではなく、「業績“成長”が安定」なのである。この要因として弊社では、「優れた商材」「オペレーション」及び「独立性」の3つを考えている。これらを活用して仕入先企業と顧客企業の双方から信頼を獲得する作業を積み重ねてきた、ということだ。

 同社の高い業績安定性や高いROEが評価され、過去半年間で同社の株価バリュエーションは切り上がり、株価も上昇した。第2四半期時点での業績上方修正でバリュエーションは低下したが、依然として大手総合商社をもしのぐ評価で取引されており、同社への期待は高いと言える。2016年3月期以降は豊田通商グループとのシナジー効果が顕在化し始め、2017年3月期の中期経営計画の目標達成に向かって着実に成長が続くと期待される。

 同社は株主還元への意識も高く、配当性向30%を目安として、配当による還元を基本としている。上方修正に合わせて配当予想も71円に増配した。同社は個人投資家も重要視するとしているが、最近の株価上昇もあって、個人投資家がより投資しやすい環境をつくることも今後は求められてこよう。

Check Point

●同社の強みは「業績の高い安定成長性」
●産業機器分野の強化のためトムキを吸収合併
●15/3期2Qは売上高及び全利益項目で過去最高を更新

会社概要

絶縁材料から電子材料まで品目を拡大し業界での地位を固める

(1)沿革

 同社の前身は1947年創業の高千穂電気だ。同社は絶縁材料の販売からスタートし、電子部品やエレクトロニクス製品向け電子材料へと取扱品目を拡大しながら、独立系の技術系商社としての地位を固めていった。

 同社の顧客企業である日本の製造業各社は、円高対応などで生産拠点の海外移転を進めたが、同社もそれに追随して1979年のシンガポールから始まりフィリピン、中国、タイ、ベトナムなどに拠点網を拡大させた。現在は海外38拠点(国内は20拠点)を擁している。