マット安川 衆院選結果を受けての年内最後の放送。2014年政界の総括を、政治評論家・浅川さんに伺いました。

焦点は9月の自民総裁選。安倍氏が勝てば憲法改正に突き進む

浅川 博忠(あさかわ・ひろただ)氏
政治評論家としてテレビ・ラジオ、週刊誌などで政治解説、コメンテーターを務める。『小沢一郎 独走す』(東洋経済新報社)、『政権交代狂騒曲』(講談社文庫)など、著書多数。近著に『小選挙区制は日本を滅ぼす』(講談社)(撮影:前田せいめい、以下同)

浅川 今回の衆院選は、意表を突いた選挙でした。野党はまったく準備ができていませんでしたし、有権者にとっても年末の忙しい時期ですから迷惑した人が多かったでしょう。投票率が戦後最低だったのは象徴的です。

 来年4月の統一地方選を乗り切り、9月の総裁選で再選されれば、安倍(晋三首相)さんはおじいさんのころからの悲願の憲法改正に向かうことになります。

 日本が外国に戦争をしにいくということについては歯止めが必要ですが、自分の国は自分で守る体制は整えないといけません。自衛のための軍隊を持つことは独立国家の条件なのです。

 にもかかわらず、憲法解釈で自衛隊は軍隊じゃないことにしているような現状はやはりおかしい。何より自衛官の皆さんが中途半端な状態に置かれているのは問題です。

 彼らの子供たちは学校で親の勤め先を書かされるようなとき、「自衛隊」ではなくあえて「国家公務員」と書くといいます。いざとなれば命を懸けて日本を守る自衛隊だと、堂々と胸を張って言える環境をつくる必要があります。

 もっとも今後、経済状態が悪化して安倍政権の支持率が下がっていく可能性もあるでしょう。今はだれも安倍さんに逆らえない状態ですが、仮にそうなれば自民党内のリベラル派議員がポスト安倍を狙う展開となります。

 対抗馬として名前が挙がっているのは谷垣(禎一)さん、石破(茂)さん、そして古賀(誠)さんが推している野田(聖子)さんなどですが、私はこの中では谷垣さんが有力だと思います。

 内閣支持率が高いこともあって、今の安倍さんは自信過多になっているところがあります。もう少し謙虚になってもらうために、彼に対抗できるくらい力のある人が出てきたほうがいいでしょう。