「チラシに出てくるような話が国全体を揺るがすようなことは、本当に韓国にとって恥ずかしいことだ」
2014年12月7日、与党首脳との昼食会で朴槿恵(パク・クネ)大統領は強い口調でこう語った。日本語が語源である「チラシ」で韓国は大騒ぎだ。
大統領が公式の場で口にした「チラシ」とは一体、何のことか。韓国の政界、産業界、メディア業界は、この「チラシ」の話題で持ちきりなのだ。
日本語が語源の「チラシ」は自称「特ダネ情報誌」
韓国には日本語が語源である単語があちこちにあるが、これもその1つだ。日本では最近は、新聞の折り込み広告などについて使うが、韓国では、主に証券、金融市場などで出回っている情報を集めた自称「特ダネ情報誌」のことを「チラシ」と呼ぶ。
その実態はなかなか分からないが、ある大手新聞社の幹部はこう説明する。
「最近はデジタル化されている場合が多いが、何年か前まではA4用紙サイズで60ページほどの分量があった。政界だけでなく、企業情報、スポーツ界、芸能界の話題など、何でも載っていた。『ここだけの話』が売り物だ。私がチェックしていたのは、週刊で購読料は月30万ウォン(1円=9ウォン)から50万ウォンだった」
つまり、有料の情報誌だ。
別の新聞社幹部は、何年か前にある「チラシ」の編集会議に出たことがあるという。
「発行人は金融マン出身者で、私が出たのは『ネタ集め会議』。企業の渉外、広報、企画担当者、証券市場の関係者などが集まってお互いの情報を交換する。発行人がここで出た情報を、独自に確認して、情報誌を作成していた」
こうした「チラシ」が韓国には数多くあるという。
もともとは、証券市場で出回っていたため、企業ニュースが多かった。
「チラシ」の信憑性に対しては、「当たっているのは30%から40%くらい」という程度の評価が多い。
大企業の広報マンは「企業関連の情報は、誤報が多い」と言い切る。それでも、「チラシ」を参考にする。政治、社会など内容が豊富だからだ。