日本が世界に誇れるものと言えば、まず思い浮かぶのが品質が高く価格は高くない「メード・イン・ジャパン」の製品だろう。最近は工業製品だけでなく、日本の農産物も世界中で人気がある。

 このメード・イン・ジャパンはさらに進化している。LEDの研究開発で日本人3人がノーベル物理学賞を受賞したのをはじめ、先日はトヨタ自動車が世界に先駆けて燃料電池車の量産車を発表した。

世界最速で進む日本に学ばなければならない

クリス・ケネリー日本テトラパック社長

 もはや品質だけでなく研究開発の分野でも世界の「先生」になっていることを証明していると言っていいだろう。

 さて、これとは全く別の分野でも日本は世界の先生になっていることをご存じだろうか。マーケティングの分野である。

 今年7月に日本テトラパックの社長に就任したクリス・ケネリー氏は言う。

 「日本という国はいろいろな意味で世界のリーダーであることを痛感させられる半年間でした。日本で生まれた製品がこれからもどんどん世界に広がっていくのは間違いありません」

 ケネリー社長が指摘するのは、高齢化社会を世界で最も早く迎え始めている日本には、様々なマーケティングの種が眠っているということである。

 例えば、同社が行ったウエブ調査によると面白い現象が日本で起きているという。キャップのついた持ち運びできる飲料をすぐに飲み干す人は4割以下しかおらず、6割以上の人が一度飲んだあと再び栓をしてあとで飲むか、あるいは捨ててしまっている。

 長く続いたデフレ経済の影響か、500ミリリットル入りのペットボトルは「50ミリリットル増量」を謳う製品が多く見られるが、実はそういう量の多さを売り物にする市場は案外ニーズが少ないようだ。

 こうしたことから同社では、従来より量を減らした飲料がこれからの主流の1つになると見ている。