11月7~12日、北京でアジア太平洋経済協力(APEC)会議が開催された。このとき中国が掲げたキーワードが「互聯互動」(「インタラクティブに影響し合う」という意味)。中国は自ら主導するインフラ支援構想を掲げ、インフラ開発で周辺国の経済を一体化させ、アジア太平洋地域を発展させようと提唱した。中国の主要メディアは、主要議題をさしおいて一斉にこの構想を報じた。
APECにおいて習近平国家主席は、「中国はアジア周辺国に公共インフラを提供、陸と海の両方のシルクロードと経済圏を構築する(「一帯一路」構想)。中国はこれを支援するため400億ドル(約4兆5800億円)を『シルクロード基金』として創設する」と発表した。
この計画の軸となるのが、陸と海の2つの“シルクロード”である。まずは陸のシルクロード経済圏を確立するため、中国と周辺国を鉄道と道路で結ぶのだという。
また、習氏はAPECの参加国に「中国という発展の列車に乗ることを歓迎する」とも呼びかけた。習氏が政権の座に就任して以降、一貫して説いてきた民族復興の「中国の夢」は、周辺国を巻き込んだ「アジアの夢」へと拡大したのである。
シルクロード建設を後押しする「アジアインフラ投資銀行」
習政権は、この「シルクロード」という言葉を、2012年末に政権の座について以来、盛んに唱えている。
2013年9月、習氏はカザフスタンの講演で、交通を結び、貿易を促し、貨幣を流通させるという「陸のシルクロード建設」の重要性を打ち出した。次いで10月には、インドネシアでASEAN諸国のネットワークづくりを提唱し、「海のシルクロード建設」を打ち出した。同時に、こうしたシルクロード建設を後押しする「アジアインフラ投資銀行」(AIIB、本部北京)の構想についても言及した。