2014年10月の「18期4中全会」を無事に終え、11月に北京でAPEC首脳会議を主宰した習近平主席は、かつて鄧小平が「改革開放の総設計師」と呼ばれたことに倣い、「改革開放の新設計師」にまで祭り上げられた。「人民日報」(11月13日付)が「改革開放の新設計師」という名称を習近平主席に冠したのである。まさに習近平主席への権威付けは「鄧小平並み」になってきたということだろうか。
実は、筆者は中国の友人から9月の段階で「新設計師」の話を聞いていた。ということは、おそらく中国の内部で、夏辺りから習近平主席に対する「新設計師」の称号は練られていたのだろう。はたしてこの称号が定着するかどうか注目したい。
中国をユーラシアにおける経済発展の中心に
ところで、習近平主席は10月11日、APEC非公式首脳会談で演説し、「(近隣諸国との)相互接続(connectivity)の協力は中国のシルクロード経済ベルト・21世紀海上シルクロード(一帯一路)構想の核心である。中国は志を同じくする友人が協力に積極的に参加し、共同で『一帯一路』をみなの協力の道、友好の道、ウィン・ウィンの道に築くことを歓迎する」と述べた。
習近平主席が力説した「一帯一路」とは何か。これは2013年9月から10月にかけてそれぞれカザフスタンとインドネシアを習近平主席が訪問した際に明らかにされた構想である。
陸上の「シルクロード経済ベルト」は、中国沿海、中原、西北を抜け中央アジア、ロシアを経て最西端はヨーロッパ西海岸に至る、鉄道・道路による経済開発構想とされる。一方、海上の「21世紀海上シルクロード」は、陸上ほどルートは明確には示されていないが、南シナ海からインド洋に抜け、中東から地中海をうかがうものと理解できよう。ASEAN諸国との自由貿易、さらに中東・アフリカからの資源輸入ルートの確保が中国の狙いだろう。