広告ネットワークの運営と広告販売はアップルが行い、アプリの開発者には広告料の60%を支払う。
これにより開発者には収益がもたらされ、ユーザーには無料や安価なアプリが提供できるようになる。広告主には新しい広告媒体がもたらされ、3者にとってメリットがあるとアップルは説明している。
アップルは当初の参加企業から2010年度の出稿分として、合計6000万ドルの契約を得たと発表している。またウォールストリート・ジャーナルによるとアイアド開始の最初の1カ月で1万人の開発者が同広告ネットワークに参加したという。
しかし米ミレニアル・メディアやグーグル傘下のアドモブ(AdMob)といったモバイル広告企業が同様のサービスを展開しており競争は激化しているのが現状だ。また開発者はアイアドがまだ本格的な広告市場でないことに気づいている。
「不穏なスタートに失望していると言わざるを得ない。今後の展開に期待している」とGPS機能を利用したSNSアプリを開発する米ループトのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は述べている。
開発者にも広告を販売する強かな戦略
広告枠を埋めるための措置なのか、アップルは「アイアド・フォー・デベロッパーズ(iAd for Developers)」と呼ぶ開発者向けの広告サービスを始めている。これは開発者のアプリの広告がほかのアプリ内に表示されるというもの。
ユーザーは気に入ったアプリを見つけたら、現在いるアプリから離れることなく、アップルのアプリ販売サービス「アップストア(App Store)」からダウンロード購入できる。
アップルはアプリのプロモーションに使ってもらいたい考えだが、これはいわば、アプリ開発者にも広告を販売してしまおうという強かな戦略だ。
その料金は1クリック当たり25セントとモバイル広告の中では割高だとウォールストリート・ジャーナルは指摘している。もっともアイアドの場合、企業向け広告パッケージの料金が100万ドルからとかなり高額だ。
こうした料金体系も導入企業がなかなか現れない原因かもしれない。
