「米国に第3の政党は必要ですか」

 この質問に対し、米有権者の58%が「イエス」と答えている。9月24日に発表されたギャラップ調査の結果だ。

連邦議員の仕事を支持する人はたったの12%

ホワイトハウスに侵入未遂 同時テロの日、米首都緊迫

ホワイトハウスで開かれた世界同時多発テロから13年の記念式典〔AFPBB News

 言うまでもなく、米国には民主党と共和党の両党があり、2大政党制は米国政治の看板とさえ言える。大統領だけでなく連邦議員のほとんどがどちらかの政党に所属し、2大政党制が揺らぐようには見えない。

 しかし、世論調査にも表れているとおり、過半数の有権者は第3の政党への期待感を高めている。裏を返せば、今の連邦議会への不満が募っているということでもある。

 何しろ同じギャラップ調査で、「連邦議員たちの仕事ぶりを支持しますか」との質問に、「はい」と答えた回答者はたったの14%でしかない。昨年12月は9%だった。連邦議会の権威は失墜したと言っていいほどの数字である。

 バラク・オバマ大統領の支持率も43%前後で低迷しており、米国人はいま首都ワシントンの政治に辟易していると言っても過言ではない。

 なぜ既存の政党に対する不信感がこれほど増大しているのか。2大政党制は本当に瓦解する危機に直面しているのか。

 それを説明するには10年ほど時間を巻き戻す必要がある。というのも、連邦議会への不信感が強まり始めたのがちょうど10年前だからだ。

 2003年3月、ジョージ・W・ブッシュ政権はイラクへ軍事侵攻を果たす。2001年9月11日の同時多発テロから2年後のことだ。当時、大量破壊兵器を保有している疑いが強かったイラクは、安全保障上の大きな脅威だった。少なくとも当時はそう捉えられていた。

 ブッシュ元大統領はフセイン政権を打倒する意味もあり、イラクへの軍事侵攻に乗り気だった。ただ米国はベトナム戦争などの経験を踏まえ、大統領だけの権限で戦争に突入できないルール作りをしてきた。軍事侵攻する場合は、連邦議会の承認が必要になる。