今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(8月31日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、安倍政権が進める経済政策や成長戦略の現状について語ったほか、消費税増税や赤字の大企業への税負担増の話題などを取り上げた。
アベノミクスの矢は的を外しているのか
中山 JBpressが配信した「アベノミクス:的を外す矢」というフィナンシャル・タイムズの記事は、不況でありながらインフレが進むスタグフレーションを懸念する声が一部で上がり始めていると指摘しています。
記事では、賃金以上に物価が上昇しており、実質雇用者所得が減少していることや、大手輸出企業の競争力を高めるはずの円安が威力を発揮していないことに言及。安倍(晋三)首相は、前民主党政権が成立させた法律に従って2015年10月に消費税率を再度引き上げるか否か、今年のうちに判断しなければならないと述べています。
アベノミクスについては、“的の中心には当たらずとも、的には当たっている”というのが私の見方です。というのも、一昨年の政権交代前は日経平均株価が8000円台で低迷していたのが、現在では1万5000円を突破し、確かに物価も上がっていますが、一方で今年の大手企業の夏季賞与は前年より8.8%増加しているのです。
また、サラリーマンが加入する厚生年金と自営業者などが加入する国民年金の平成25年度の決算は、株価が堅調に推移し積立金の運用が好調だったことなどから、厚生年金は3年連続、国民年金は5年連続でいずれも黒字になったと伝えられています。
よく「株価が上がっても株を持っていないので関係ない」という声を耳にしますが、現実には年金加入者にとってメリットのあるニュースも出てきているわけです。
また、日銀の黒田(東彦)総裁は、そうした日本経済の数字をシビアに監視し、良いことも悪いことも含めて透明性を持って国内外に分かりやすく情報発信されています。
4月に消費税率が5%から8%に上がった後の反動から、安倍政権の経済政策や成長戦略を批判する報道も存在しますが、もっと数字として顕著に効果が表れている部分も取り上げてもらえれば、成長戦略に対する理解もより得られるのではないでしょうか。
不安を煽るニュースが目立ちますが、私たちは情報を取捨選択することができます。そもそも、新聞もニュースも記事は編集されているのが前提であって、その意味でメディアの役割は“国家の意思を伝える媒体”ではないのです。従って、自分自身が正しい情報を見極める目を養う必要があります。
もちろん不安があるのは当然でしょうし、目の前の不安を解消することは大事です。しかし、まずはポジティブな心を持って、近視眼的ではなく中長期的な視野に立ち、日本経済にプラスの連鎖を生んでいくことが重要だと思います。