また、お金のために働き続けることが自分の人生ではないと思いつつ、外資系から方向転換して、何をするのかはっきりしないこともある。そして、今の職場でまだやり残した気がするなど、結局は働き続けるケースも多い。

 でも、外資系でキャリアを積んできたのは、人生を楽しむためであり、仕事だけで人生の目的が達成できないのなら、転換することを当然考えるべきなのだ。

 逆に、働き続けるという選択をした場合にも、ずるずると働き続けるのではなく、働き続けることが自分の人生にとって最善の選択である、という判断をもって働き続けるべきなのだ。

 方向転換は5~10年かかる大仕事である。興味がある分野も、想像していることと実際が異なることが多い。少し足を突っ込み、残りの人生を懸けるだけの価値が本当にあるか、見極めなくてはならない。

 また、家族、特に配偶者からの理解を得るのも大切だ。自分の方向転換は家族にとっても大きな影響がある。自分だけで勝手に決めてしまうと、賛同を得られず反対されてしまうかもしれない。最悪の場合、自分の計画に誰もついてきてくれなくて、1人ぼっちになってしまうかもしれない。それでは、充実した人生は送れない。

 このように、第3フェーズへ向け大きな方向転換が必要になる人は、意識して、決断できる時期が来る相当前から、周到に準備を進めていくことが大切だ。

仕事の選択は人生全体のイメージを持って

 寿命が延びて、60代、70代になっても、とても元気で活動的にいられるようになった。60歳定年であとは余生、という人生モデルはもはや時代に合っていないように感じる。会社勤めの先にもう1つのフェーズがあるのではないだろうか。

 若いうちから、年を取った時のことを考えるのは心配しすぎだし、想像するのも難しいだろう。でも、自分がどんな人生を歩みたいかという大まかな希望、方向性は持てると思う。

 仕事、職場は人生に大きな影響を及ぼす。優良会社への就職が長い人生の安泰を必ずしも意味しない。一生、納得して充実した時間を過ごすために、どんな時間を若いうちに過ごしておくべきか、人生全体を少しでもイメージして選択できたらいいのではないか。