2014年7月30日に投開票された韓国の国会議員再補欠選挙で、与党のセヌリ党が事前の予想を覆して圧勝した。最大の勝因は、直前に就任した経済副首相が打ち出した「経済対策」への期待から、株価が大幅に上昇したことだったようだ。
選挙は全国の15選挙区で実施された。韓国の国会議員定数は300。その5%の選挙区で一斉に実施された「大型国政選挙」で、「ミニ総選挙」とも呼ばれた。
与党が15戦11勝で圧勝
15選挙区のうち、セヌリ党は11選挙区で勝利し、圧勝した。ソウルの銅雀(トンジャク)区では、3年前のソウル市長選挙で「高額の皮膚科に通っている」などの虚偽報道を直前に流されるなど強烈なネガティブ攻撃に遭って苦杯をなめた元職の女性候補が当選し、国政への返り咲きを果たした。
「野党の独占」が続いていた全羅南道では順天(スンチョン)市では、現政権で青瓦台(大統領府)の政務、広報首席秘書官を歴任した候補が野党候補に圧勝した。
また、3年後の大統領選挙をうかがう野党の元京畿道知事や慶尚南道知事など「大物候補」もそろって落選した。
首相指名者が辞退に追い込まれるなど相次いだ人事の失敗やセウォル号事故対応のもたつき、景気の落ち込みなど国民の政権への不満が高まり、大統領支持率もじりじりと下がり、当初は「与党不利」との予想が多かった。しかし、これが見事に外れたのだ。選挙の結果、与党は300議席のうち158議席を占めることになった。
与党の勝因、野党の敗因はもちろん1つだけではない。野党の候補者選定過程で党内でのごたごたが続いた。また、第一野党と少数野党との候補一本化が名分を欠き、批判を浴びるなど野党の選挙戦術上のミスが目立った。また、投票率が32.9%と野党が期待したほど高まらず、「固定票」の多い与党に有利に働いた。
株価上昇の突風
それでもこれだけの与党圧勝になるとは、専門家も予想していなかった。
では、何が決め手となったのか。選挙戦終盤に吹いた「株価上昇」の突風だった。
セウォル号事故を契機に韓国内で自粛ムード一色となって内需が落ち込んだことなどで、韓国の総合株価指数(KOSPI)も7月1日には1999になっていた。ところが、その後上昇を続け、投票当日の7月30日には2082になった。3年ぶりの高値更新だった。