特に、10か条は仕事の調子がなかなか上がらないとき役に立つ。リストをチェックして、何ができてないのかを見つけるのだ。

 仕事の成果のほかに気をつけないといけないことが、気持ちの管理だ。外資系企業で働くと、日系企業とは異なったイライラを抱えることがある。

文化のギャップ~東洋と西洋

 これは、日本との文化の違いによるものだが、原因が分かれば対策も立てられる。

 欧米の会社で働くと、西欧人のプレゼンテーションの力には到底かなわないと感じる。時として、彼らの言っていることが内容的に素晴らしいということではないのに、会議で彼らの声は聞かれ、受け入れられることが多い。

 それに対して、有効な反論をできなくて、歯がゆく思うことが多い。本当に何が起きているか知らなくても、口先でやり込められることも多い。当人に問題があっても、巧みにそれ以外のことに論点を移されてしまうこともある。

 これは、単に日本人が論理的でないとか、英語がうまくないとか以上の理由がある。そこに気づかなくては、やり込められてイライラが募るばかりだ。

 では、この簡単に埋めがたい東洋と西洋の違いとはいったい何なのか。それは、「物事には正しい答えがある」という信条を持っているかどうかだと感じる。

 東洋的な感覚では、物事は見る角度によって様々に見えるし、時と場合によって状況が変わってくる。自分が今見ている姿が絶対のものではないし、他人からの見え方も尊重しなくてはならない。

 これが、意見のあいまいさを生み、論点をぼやけさせ、(西洋的な)説得力を落としている。何か反論されても、それに対して直ちに反論し返すのではなく、いったん受け入れ消化しようとしてしまう。

 また、相手にその寛容さがないことにいらだつ。

 ただし、東西の文化は決して対立するものではない。日本人が日本人らしく自分たちの価値観や誇りを持ったまま、西側文化の中でやっていくにはどうしたらいいのか。