米アップルが、ヘッドフォンなどのオーディオ機器を手がける米ビーツ・エレクトロニクス(Beats Electronics)の買収に向けて交渉していると海外メディアが報じている。
このニュースを最初に伝えた英フィナンシャル・タイムズによると、アップルが提案している買収金額は32億ドル。これが成立すれば同社創業以来最大の買収案件になるという。
交渉相手はファッション性重視のオーディオ機器メーカー
このビーツ・エレクトロニクスは、ブルース・スプリングスティーンやU2などのアルバムを手がけた音楽プロデューサーのジミー・アイオヴィン氏と、ドクター・ドレーの名で知られるヒップホップのミュージシャン兼音楽プロデューサー、アンドレ・ ヤング氏が設立した会社。
ビーツ・エレクトロニクスの製品は、1台数百ドルする高級ヘッドフォンなどのオーディオ機器だが、同社は今年に入って「ビーツ・ミュージック」と呼ぶ音楽ストリーミング配信サービスを開始した。
フィナンシャル・タイムズによると、この買収が成立すれば、ビーツ・エレクトロニクスの経営陣はアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)の直属となる。またアップルの狙いは、ブランドと音楽ストリーミングサービスの強化だと同紙は伝えている。
というのも、ビーツの製品は著名なミュージシャンやスポーツのスター選手に好まれており、そのブランドは“クール”というイメージが定着している。クックCEOは、こうしたファッショナブルなブランドイメージを重視しているとしているとフィナンシャル・タイムズは伝えている。
またアップルのアイチューンズ・ストアは、今でも世界最大の音楽ダウンロード販売サービスだが、ここ最近はダウンロード販売市場の成長が鈍化している。
昨年はアップルが2003年にアイチューンズ・ストアを開始して以来初めて業界全体の売上高が前年割れとなった。一方で、ストリーミング配信サービス市場の規模はダウンロード販売の4分の1程度だが、伸び率は50%と急成長している。