能力開発でも、外資系では社内の様々な分野を経験するジェネラリストというよりは、マーケティング、ファイナンスなど自分の専門分野で能力を伸ばしていくことが多い。

外資系と日本企業の一般的な比較

  外資系企業(グローバル企業) 日本企業(大企業)
組織の目的 ・ ビジネスを伸ばす ・ ビジネスを安定的に伸ばす
求められる能力 ・ 自分の意見、アイデアを持つ
・ 国籍・年齢・性別にかかわらず、様々な人と働ける
・ 和を尊重しつつチームに貢献する
・ 組織の暗黙知を理解し、一体感を持って仕事する
働き方 ・ 組織上求められる役割を果たす
・ ほかから助けられるのを待つのでなく、自分から必要なことを求める
・ チームワークやコミュニケーションは重視される
・ チームの中で自分のできることで自主的に貢献する
・ チーム内で助け合う
・ 同左
人事考課 ・ 年に最低1回
・ 毎年の評価が重要。評価はランキングされ、昇進・昇格とリンク
・ 同左
・ 将来は公式の考課と暗黙の評判で左右され、中長期的に判断される
社内異動 ・ 異動は会社と本人の合意で決まる ・ 人事部からの通知
能力開発 ・ 自分の専門分野を持つ
・ 自分が何を将来したいかを明確にしたうえで、適した機会を得る
・ 専門性にかかわらず、様々な部署を経験
・ OJT中心
収入 ・ 給与水準が特に上級社員で高い
・ 年齢にかかわらず昇進できる
・ 福利厚生は最低限
・ 給与格差が比較的なだらか
・ ある程度、年功序列
・ 福利厚生は比較的充実
安定 ・ 成果が出なければ、退職奨励あり
・ ビジネス環境の変化でリストラの可能性あり
・ 転職は割合容易
・ 極力会社が面倒を見てくれる
・ 運が悪ければ、経営危機、リストラに遭う
・ 中高年では転職が難しい
言語 ・ 英語必須。できないと相当不利 ・ 部署により英語はできた方がいい


実際は、どんな組織でも欠点を補うような工夫をしているので、そんなに単純な二極化はできないのだが、そうは言っても、“個人”と“集団”のどちらが発想のスタート地点になるかは、外資系と日本系企業の違いをつかむために根本的なことになる。

 一方で、外資系に対する不安の1つに、安心して長い目で働いていけるのか、という点があると思う。筆者の経験では、毎年5~10%くらいの人が、成果不十分という厳しい評価を受けるという印象を持っている。