4月16日、安倍晋三総理大臣は経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議において「混合診療」(保険診療に加えて自費での診療を追加で受けられる制度)の大幅な拡大を検討するよう関係閣僚に指示し、混合診療の拡大が事実上決定したと報道されています。

 具体的には、新たに「選択療養」(患者と医師の合意のもとの混合診療を実施する制度)という制度を設け、認められる「混合診療」の範囲を大幅に広げるとされています。

 大手メディアは「(岩盤規制の緩和による)成長戦略の柱(日経)」「患者の選択を広げる(読売)」「患者が選択可能(産経)」などと軒並み歓迎すべき方向として報道しています。

 一方、日本医師会は「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保すべきである」として、“到底容認できない“との声明を出し、患者団体である日本難病・疾病団体協議会も「国民の誰もが、わが国の到達した先進的な医療を安心して受ける事ができるよう、国民皆保険制度を堅持し、充実させてください!」と反対しています。

 混合診療解禁については以前にもこのコラム(「解禁してはいけない『混合診療』」)で取り上げましたが、一言で言うと「医療に貧富の格差を認めるのか否か」というイデオロギー問題です。

 国民的議論は必要な事柄だとは思うのですが、それ以前に、そもそも日本の国民皆保険制度が極めて「社会主義的」な制度であることが十分一般に理解されていない気がしてなりません。