マット安川 年度初めのゲストは政治評論家・浅川博忠さん。消費税増税後の政権運営や再編が噂される野党の展望まで、幅広くお聞きしました。

自民党の「1強多弱」がますます進む?

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:浅川博忠/前田せいめい撮影浅川 博忠(あさかわ・ひろただ)氏
政治評論家としてテレビ・ラジオ、週刊誌などで政治解説、コメンテーターを務める。『小沢一郎 独走す』(東洋経済新報社)、『政権交代狂騒曲』(講談社文庫)など、著書多数。近著に『小選挙区制は日本を滅ぼす』(講談社)(撮影:前田せいめい、以下同)

浅川 私は全国各地で講演をしています。講演テーマは、この間までは安倍政権と野党再編の行方といったものが多かったんですが、最近は安倍政権の行方みたいな感じで話をすることが増えています。このところ野党の再編が見えにくくなってきているためです。

 野党はいま、特に野党第一党の民主党が衆議院に57人しかいません。自民党は300人近くいる。

 衆議院の定数480人のうち、野党第一党が200人近くいる状態になれば、お互いに切磋琢磨するようになるんですが、いまよく「1強多弱」と言われているように、自民党だけが強く、野党はみんな弱い状態です。

 これはトータルの政治で考えると好ましくありません。もうちょっと野党がしっかりしないといけないという感じがしますね。

 そういう中で、日本維新の会と結いの党が年内に合流しようという動きが出ています。

 しかし、結いの党もさることながら、維新の会が石原(慎太郎、共同代表)さんの東京勢と、小沢鋭仁(国会対策委員長)さんや大阪勢で考え方が完全に違っていますから、維新の会も年内に分裂しかねない。そうすると野党はますます多弱化していくことになります。

小選挙区制は「風」で極端から極端に向かう。見直し論議を

 この1強多弱は、現在の小選挙区比例代表並立制がもたらす悪い結果です。つまり、風の吹き方で極端から極端になってしまうんですね。

 ちょうど20年前の平成6(1994)年に、当時の細川(護熙)総理と自民党の河野(洋平)総裁でいまの小選挙区制を導入することで握手がなされました。

 その背景には、自民党の田中(角栄)派を受け継ぐ竹下登と小沢一郎のいわゆる「竹小(ちくしょう)戦争」があり、小沢さんサイドが自分たちは新選挙制度を導入する改革派だということで竹下つぶしにかかった。

 そういう攻防戦で小選挙区制は入ってきたので、入り口からして政治抗争の道具として使われてきた経緯があります。