仮想と現実の融合。それを為す技術の一つが、コンピュータによって作られた仮想的な世界を現実のように体験させる仮想現実だ。
仮想現実は、まゆつば扱いされることもしばしばであるが、いままた注目を集め直している。
「セカンドライフ」生みの親の新たなベンチャービジネス
人間が仮想現実に対して抱く憧憬の強さは、数々の映画の中にも表れている。
1992年に米国で製作された「バーチャル・ウォーズ(原題:The Lawnmower Man)」というSF映画がある。
脳の活性化を研究するアンジェロ博士が新たな実験の被験者を探していたところ、知的発達障害を持ったジョーブと出会う。博士はコンピュータを使ったバーチャル空間を用いてジョーブの脳を活性化する実験を行う。その結果、ジョーブは恐ろしい力を手に入れるというストーリーだ。
1998年の米国映画「トゥルーマン・ショー(原題:The Trueman Show)」でも仮想現実がテーマとなっている。
ジム・キャリーが演じるトゥルーマンは、赤ちゃんの時から巨大な映画のセットの中で大人になるまで生活する。その生活は全て嘘で固められ、家族や友達も俳優だ。
自分の生活全てが放映されていることを知ることもなく、彼はその巨大映画のセットを本当の世界であると信じて生活している。彼の生活の全てはヒューマンドラマとして放映され絶大な視聴率を得ていたが、本人が次第にその真実に気づき始める・・・というストーリーだ。
2006~2008年頃に世界中で注目された「セカンドライフ(Second Life)」というサービスを覚えているだろうか。
ユーザーはインターネット上に構築されたセカンドライフの住民として自分の分身となるキャラクター(アバター)を操作し、現実の世界のように過ごす。その中では仮想通貨「リンデンドル」を使って、仮想空間で現実のビジネスを行う。
現実の世界とは異なる自由な第2の夢の人生を楽しむというのがこのセカンドライフであった。
だが、セカンドライフは2007年を人気のピークにアクティブユーザーが減少し、あっという間に衰退した。
衰退の理由は様々考えられるが、セカンドライフをストレスなく動かすためには高スペックなパソコンや通信環境が必要とされたものの、まだそれらが整っていなかったことは大きな敗因として挙げられるところだ。