さて、上記のページから少し引用させていただくと、粒子状物質には1次粒子と2次生成粒子の2種類がある。1次粒子は発生源から直接大気中へ粒子として放出されるもので、工場やエンジン、焼却などから発生する燃焼粒子、また自然界から飛散する粒子(花粉や火山灰)など。
2次生成粒子は、ガス状物質として大気中へ放出されたものが、放出後に化学変化を受けて粒子になったもので、光化学スモッグなどは分かりやすい代表例だそうだ。そして、これらが増えすぎるとスモッグを引き起こす。
石炭や石油を燃やすと発生するのが、1次粒子の煤煙だ。ただ、これはフィルターなどの技術で、設備投資さえすればかなり軽減できる。風塵や砂嵐も1次粒子で、土壌に含まれているケイ素、アルミニウム、チタン、鉄など、酸化鉱物が飛ぶのだそうだ。
黄砂もこれ。工事現場で建物を壊す時の粉塵、ゴムタイヤの摩耗による粉塵もある。今は禁止されたが、スパイクタイヤは道路を削り、夥しい量の粉塵(発ガン性あり?)をまき散らした。その他、自然由来の物には、花粉やカビの胞子、海から来る海塩粒子もある。
一方、2次生成粒子はもっと複雑だ。こちらは硫酸塩やら、硝酸塩やら、水素化合物やら、有機化合物やら、あるいは、鉛やカドミウムやバナジウムやニッケルなど、とにかくいろいろな成分が大気中で化学反応したり、凝縮したりして、有毒な物質が作られる。
つまり、中国の諸都市の空を暗くしているのは、単なる工場の煤煙や自動車の排ガスではなく、ありとあらゆるものが組み合わさった化学物質なのだ。
それどころか、中国問題に詳しい福島香織氏によれば、「複数の毒性物質が交わり化学反応を起こすというだけでなく、司法制度や公民意識や言論や報道の自由といった社会や政治のシステムも複合的に関わるものであり、先進的な技術を導入したり、法律を整備したり、規制を強化するといった従来の環境問題対策のセオリーだけでは解決できない状況である」という(『中国複合汚染の正体』扶桑社)。
「原発の国」の大気汚染の原因は何なのか
では、フランスの場合はどうなのか? フランスの発電施設はほとんどが原発なので、空気をあまり汚さない。冬の暖房もどんどん電気に切り替わっているので、これも煤煙は出さない。
しかし、何と言ってもディーゼル車が多い。そのうえ、先日の極端なスモッグの時期は、お天気も手伝った。夜は寒く、昼は比較的暖かく、そして、無風という状態が続いたのである。