今回のコラムは、JBpress編集部より上記のタイトルを提示されて執筆することになった。
再三固辞したのだが、どうしてもと請われて、断り切れなかった。
決して、わが子の出来がいいのを自慢したいためではないことを、読者は理解していただきたい。また、私がこれから列挙する「方法」は、息子の心身の健康を維持するためにしてきた工夫であって、学力を伸ばすためのものではないことをあらかじめ了解したうえで、お読みいただければと思う。
さて、わが家の長男は高校で硬式野球部に所属していた。電車通学でもあったため、帰宅は毎晩10時前後だった。泥だらけにした練習着を押し込んだエナメルのバッグを自転車の荷台に括りつけて帰ってくると、まずは風呂を浴びる。その間に、私は夕食を温め直してテーブルに並べる。やがて息子は風呂からあがってきて、遅い晩ごはんを食べているうちに11時になってしまう。したがって、夜は机に向かわずに眠ってしまうことも多かった。そのぶん早起きをして、午前6時半には家を出てゆく。そして、高校の教室で小一時間、復習や予習をしていたようである。おそらく、授業中もしっかり集中していたに違いない。
★ ★ ★ ★
主夫である私が平素から心がけていたのは、ごはんをきちんと食べさせることと、コンパクトにテレビを見せることだった。前者は当たり前なので、後者について説明したい。
その前に補足しておくと、私の妻は小学校の教員をしている。昨今の先生の忙しさは、まさに殺人的で、妻は午後7時過ぎに帰宅して、9時には寝てしまう。しかし、深夜2時には起きて授業の準備に取りかかり、そのまま朝を迎えるという毎日を送っている。よって、息子が帰宅する午後10時に妻は就寝しているため、父親である私が世話を焼いていた。
息子が晩ごはんにかける時間は30~40分くらいだっただろうか。部活で疲れた身体を休めながら、かなりゆっくり食べる。私は同じテーブルでノートパソコンに向かって小説やエッセイを執筆しているのだが、息子が話しかけてくれば、キーボードを打つ手を休めて話し相手を務めた。テレビでは、HDDに録画しておいた人気のバラエティー番組が再生されていて、息子はそちらも楽しんでいた。
テレビはリアルタイムで見ていると、CMがちょくちょく入って、かなり時間を食ってしまう。それに、息子が晩ごはんを食べる時間帯に面白い番組をやっているとも限らない。そこで、「1分間の深イイ話」や「アメトーーク!」や「なんでも鑑定団」などを録画しておき、CMをとばしながら、ササッと見せるのである。これなら30分ほどでバラエティー番組を1本見られて、満足感が得られるというわけだ。