プーチン、オバマ両大統領の電話会談
バラク・オバマ大統領は6日、プーチン大統領との電話会談で、1月中にキエフに設置された新政権を承認し、クリミアからすべての軍隊を撤収し、クリミアを国際的な監視体制下に置くことを要求した。
これは、ロシアに対しほとんど完全な屈服を要求する「最後通牒」に等しいと言える。
オバマ大統領はこの通話中に「ロシアの侵略」を非難し、「ウクライナの主権」を尊重せよと言い、これに対しプーチン大統領はウクライナの新政権は「憲法に違反したクーデター」の結果であり「完全に違法」であるとした。また米ロ関係の重要性に言及して「国際問題は非常に重要であるため、たとえ国家間に差異があっても、それによって損なわれてはならない」と話したという*1。
軍事緊張を激化させるロシアと米国、そして欧州
電話での恫喝と前後して、米国はロシアに対する軍事的な圧力をますます強めている。
米国防総省海軍は6日、イージス艦「トラクストン」がギリシャからウクライナに近い黒海に向かっていると発表した。またロシアに隣接するバルト3国の空域の警戒を強化するため、既に6機のF16戦闘機をラトビアに派遣しており、さらに今週中にリトアニアに6機のF16戦闘機、ポーランドに12機のF16戦闘機および300人の兵、黒海に誘導ミサイル駆逐艦を派遣する予定だ*2。
米海軍のウェブサイトによると、この駆逐艦「トラクスタン」は最近この地域に到着した空母ジョージ・H・W・ブッシュの戦闘群の一部だ。
これらの動きについて米国防省は、ルーマニア、ブルガリア両国軍と軍事演習を実施するためと説明しており、周辺に警戒活動や共同訓練を名目に米軍機を次々と送り込んでいる。こうして着々とロシアを軍事包囲する意図のようだ。
ロシアの対応
クリミア半島西岸にあるドヌズラフ湖の黒海に通じる出入り口部分に沈められたロシア艦艇〔AFPBB News〕
これに対しモスクワはロシア西部で大規模な防空訓練を行った。ロシアの軍事スポークスマン、オレグ・コチェトコフ大佐は地域の防空ユニットによる「史上最大規模の訓練」としている*3。
またロシア海軍は6日未明、クリミア半島西部にある塩湖ドヌズラフ湖と黒海の境界にある防潮堤の出入り口に、ロシア海軍黒海艦隊所属の巡洋艦オチャーコフを自沈させて、塩湖の入り口を封鎖した。
*2=http://www.foxnews.com/politics/2014/03/06/navy-destroyer-heading-to-black-sea-as-us-fighter-jets-land-in-lithuania/, http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/ukraine/10679802/Ukraine-Russia-crisis-live.html