前回のコラム「米国が真剣に検討し始めたロボット軍隊」で、国防総省(ペンタゴン)が兵士に代わるロボットの導入を検討している事実を書いた。
それは単にロボット軍隊が将来、実戦に使われるという内容にとどまらない。記事の最後で触れたように、自動化(コンピューター化)の波が一般社会の雇用を脅かすことになるのか。ロボットやコンピューターと共存する社会が訪れるのかという疑問の提示である。
今後20年間で雇用の47%がロボットに?
実は2013年9月、英オックスフォード大学の2人の研究者が「雇用の将来:仕事がいかにコンピューターの影響を受けるか」という題の共同研究報告(72ページ)を発表した。
その中で、雇用の47%が今後20年でコンピューターに置き換えられる可能性があると記されている。対象国は米国だが、米国で起こる事象は後年、日本を含めた他国でも見られることが多い。
国によって違いはあっても、いずれは日本でも多くの仕事がロボットやコンピューターに取って代わられると思われる。
報告書で示された研究では、数値を使った様々な分析が行われている。職業を702に分類し、コンピューター化される可能性の高い職種や将来の賃金が挙げられると同時に、新しい方法論によって「これから有望な職業」と「消えゆく運命にある職業」が列記されている。
すでに人間の手を離れ始めている職種はあるが、今後は加速度がついていくということだ。
目に見えるところでは、すでにスーパーのレジ担当者やガソリンスタンドの給油員が無人化され、米国の一部レストランでは席に着くとタブレッドが手渡され、ウエイターやウエイトレスの代役をしている。
もちろんサービスの質を重視する企業や、自動化の流れを逆手に取ったビジネスを実践する組織が勝ち抜くことはある。ただ一般論として、同研究が示したロボット・コンピューター社会の到来により、多くの職業がリスクに直面しているのは事実だろう。