女性の活用は日本でも韓国でも喫緊の課題だ。そんな折、韓国で2人の女性トップが大きな話題を集めている。鉄道ストを「制圧」した鉄道公社の社長と韓国の大手銀行で初めて就任した女性銀行長(頭取)だ。韓国で今、最も有名な経済人はこの2人と言ってもいい。
「違法ストには厳然と対処する。新しいKTX(韓国版新幹線)運営会社を民営化することはないと言っているのだから、私を信じてほしい」
2013年12月9日に始まった鉄道労組のスト。2015年に営業を開始するソウル南部の水西(スソ)駅発のKTX運営会社を現在の鉄道公社の「子会社」とすることを「民営化への布石だ」として労組が反発して始まった。
労組に所属する機関士の多くがストに参加したため、KTXのほか、貨物列車の運行に大きな支障が出た。首都圏の通勤客にも影響が出て、労組は一時「押せ押せ」の攻勢をかけた。
ストは22日間という長期戦になった。政府と経営側は、「スト参加者に対する懲戒処分」などで一歩も譲らず、2013年12月30日に事実上労組側の敗北で決着した。政府、会社側は「そもそも民営化計画などない」として最後までぶれなかった。
スト「制圧」で脚光浴びた鉄道公社社長は元教授、政策ブレーン・・・
この間、毎日メディアに登場して鉄道公社の立場を説明し、時に「懲戒」をちらつかせながら労組員に復職を強く訴えたのが崔然恵(チェ・ヨンヘ)鉄道公社社長(57)だった。前身の鉄道庁時代を含めて初めての女性トップだ。
崔然恵社長は、ソウル大の独語独文学科を卒業後、同大学院の修士課程を修了した。大学時代の先輩と結婚してともにドイツに留学し、経営学を専攻した。留学先のマンハイム大学では主に公企業の経営を研究し、経営学博士号を取得した。
帰国後は専門分野の研究を続け、大学で教鞭を執った。一般の大学を経て鉄道大学の運送鉄道学科の講師、助教授、教授と昇進を重ねる。1990年代後半から2000年代前半にかけてだ。
ちょうどこの頃、金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で公企業改革、鉄道改革の動きが出て、崔然恵氏も政策ブレーンとして活躍する。
特に盧武鉉政権では、大統領職務引き継ぎ委員会のメンバーにも入り、鉄道改革などについての政策作りに参加した。