近年、周囲に「子供がいない」夫婦、「子供を産まない」女性が増えたように感じる。が、日本人女性とスウェーデン人女性の大きな違いは、前者は「子供が欲しくてもできない」「条件が整わず産めない」のに対し、後者は「子供を持ちたくない積極的な理由がある」ようだ。
「なんで子供を持たないの?」という問いに対し、日本に住む友人の回答は、だいたい以下だ。
「子供なんて無理。むしろ邪魔になるし」「価値観の問題ではなく、経済的な問題」「子育てに対する支援がまともにないし、保育所すら不足している日本で子供を産みたいとはなかなか思えない」「子供をつくるのはリスク要因。子育てや教育にお金がかかるのに、所得は下がる一方で、その対策としてできた子供手当が『バラマキ』だと批判されている」――。
つまり「子供が欲しくても、財政的・社会的な条件が許さず産めない」のが日本に住む女性たちが直面する現状のようだ。
子供を育てやすい国のナゼ
2010年に英カーディフ大学の研究グループが、世界18カ国で行った調査では、子供を持ちたいと考える人が日本では最低である。
また、人生の満足度を達成するために親子関係は必要であり、子供を持つことに重要な意義があると考える人の割合も、日本では最低であるという結果が出ている。
以前に書いたが、スウェーデン人と結婚してこの地で家庭を持っている日本人女性は、「今さら日本へは帰れないわ」「日本で子育てできないよねー」と言う人も多い(2009年8月25日付「スウェーデン・モデルは成功か失敗か」参照)。
筆者自身も、3人の子を育てながら2校で教え、通訳・翻訳・市場リサーチなどの仕事もたまにし、さらにこうして原稿を書かせていただいているのだが、日本でも同じようにできるのかはよく分からない。
これを可能としているのは、スウェーデンをはじめとする福祉国家では、子育て支援などの社会的な保障制度が整っているから、というのが第一義的な要因だ。
内閣府が発表した「少子化社会に関する国際意識調査」(2011年3月)によると、「自分の国が子供を産み育てやすい国であると思う」と答えた人の割合がスウェーデンでは約97.1%、日本は52.6%となっている*1。
*1=http://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa22/kokusai/mokuji-pdf.html, http://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa22/kokusai/pdf-zentai/s2-3.pdf