今年の夏は、北京から内モンゴル自治区北東部ハイラルを通り、満洲里を抜け、ロシアへ入り、ブリヤートの中心地ウランウデから南にウランバートル、そして北京に戻るルートで調査旅行を行った。

 収集した資料はほぼ現地で送ることになるのだが、重要なので持ち帰りたかったり、送る荷物に入り切らなかったりして何冊かは持って移動することになる

モンゴル文字を苦しそうに読むモンゴル人

漢字と満州文字が併記された中国の故宮にある門

 いつもならウランウデからウランバートルは鉄道を使っているのだが、今回は急ぐ旅だったので所要時間12時間のバスによる国境越えを行った。

 それについてはそれほどのドラマもなく、ロシアもモンゴルも途中気分が悪くなるようなひどい道であったこと以外書くことはあまりない。

 ただ、ロシア・モンゴル国境から、バスに乗り込む人々がいた。後で分かったことだが、入国管理に携わる人々とその家族などが乗り込むらしい。

 ほぼ満員であったが、後ろに若干の空席がある。その1つは私の横にあった。

 モンゴル人青年がそこに座った。後で聞いたところ、国境で入国審査などの仕事をしているらしい。昇級試験を受けにウランバートルに行くところとのこと。最初英語で話しかけてきたが、非常にうまかった。

 ロシアで買った本が何冊か、座席の前についているポケットに入れてあるのを取って眺めていたが、そのうちに、本の裏側に書かれていた、縦に書いてある文字を読み始める。

 不鮮明で判読しがたい文字の列に手を焼いたようだが、どうやら戦争について書いてあるらしいとのこと(こちらは酔っていて文字を読む状況ではなかった)。

 学校で勉強したらしいが、読み慣れないからかゆっくりとしか読み進められないとも話してくれた。書いてあったのはモンゴル文字である。