2008年の洞爺湖サミットを契機に「環境首都・札幌」宣言を行い、市民、産業界、行政が一体となって地球環境保全活動に取り組んでいる札幌市。
その札幌で6月18日、日本IBMと札幌市によってフォーラム「Smarter Cities―札幌 ~環境にやさしい、地産地消型新エネルギーの活用に向けて~」が開かれた。
札幌の環境政策にITがどのように貢献できるのか、「都市のスマート化」を札幌でどのように実現できるのか、などを探るフォーラムである。
寒冷地である札幌市では、市民1人当たりCO2排出量が全国平均の約1.4倍と多い。だが、登壇した日本IBMの橋本孝之社長は、「スマート化という観点で見ると、そこに大きな可能性がある」と語る。
また橋本社長は、「札幌は太陽光、雪、木質バイオなどの新エネルギー源を豊富に持っている。これらとITを駆使して、クリーンな新エネルギーのマネジメントシステムやエコシステムを構築するお手伝い・ご支援をさせていただきたい」と述べた。
木質バイオマス、積雪利用・・・、札幌ならではの新エネルギー
札幌市の上田文雄市長は「『環境首都・札幌』を目指して」と題して札幌市の地球環境問題への取り組みについて講演した。
上田市長はまず札幌市のCO2の排出量について紹介。「1990年には908万トンだったが、2007年は1190万トンと増加傾向にある」という。
また、札幌の環境問題の特徴として、「CO2の排出源は全国の他地域では産業部門が多いが、札幌市では民生家庭・民生業務・運輸の3部門が全体の9割以上を占めている」ことを挙げた。その原因としては、「製造業が少なくサービス業が多いこと。また、家庭での暖房に膨大なエネルギーを必要とすること」などが影響しているという。
札幌市はどのようにCO2削減に取り組んでいるのか。同市は2008年の洞爺湖サミットを契機に「環境首都・札幌」を宣言し、その具体策として(1)省エネルギー、(2)新エネルギー、(3)自動車、(4)ごみ原料、(5)エコライフ――という5つの分野で活動を展開している。