9月5~6日にロシア・サンクトペテルブルクで主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれるが、この会談の前にバラク・オバマ米大統領がスウェーデンを訪問する予定だ。
これはもともと、オバマ大統領がロシアを訪問しウラジーミル・プーチン大統領と会談する予定だったのを取りやめ、急遽スウェーデンへ足を向けることになったものだ。
米ロ首脳会談中止でお鉢、初の2国間訪問という「歴史的大事件」に
プーチン大統領との会談をキャンセルした理由について、ホワイトハウスは「エドワード・スノーデンに一時庇護を付与するロシアの決定は我々を失望させ、我々の2国間関係の現在の状態を評価する際の要因であった」としている*1。
つまり思いがけず、いわば棚ボタ的にスウェーデンにお鉢が回ってきたものなのだが、スウェーデンにとっては最初の本格的な2国間訪問であり、現職の米国大統領と直接会談するという「歴史的大事件」だ。
これのどこが「歴史的大事件」なのかと言うと、世界の超大国が名指しで「スウェーデン」を指定し、国家首脳とサシで会おうと言ってきたということであり、スウェーデン首相がワシントンを訪問し、ホワイトハウスが設定したスケジュールに沿って簡単な会議および記者会見をするのとは全く意味合いが異なるからだ。
つまり、こちら側が「主宰」、すなわちホストとして米国の首脳を迎え、一切を取り仕切るということであり、やはりスウェーデンにとっては「歴史的大事件」なのだ。
スウェーデンのフレドリック・ラインフェルト首相は、「これはオバマ大統領と直接、世界の政治・経済の動向を議論するよい機会であり、スウェーデンの意見を提示するよい機会になる」と言い、他の政治家や関係者らも大喜びだ。各メディアも「スウェーデンの外交的クーデター」などとして絶賛している。
ビルト外相は得意の「ツイッター外交」を展開
スウェーデンのカール・ビルト外相は、オバマ訪問が発表された同日、ツイッターに「我々は9月4日のオバマ大統領のスウェーデン訪問を歓迎する。素晴らしい。これは最初の米国大統領の真の2国間訪問になる」と書き込んでいる。
発表によると、オバマ大統領がストックホルムに到着した日に晩餐会が催され、ラインフェルト首相はこれに北欧国家の全首脳を招待した。翌5日に大統領は北欧首脳らとともにG20サミットに向かう予定だ*2。