韓国の現代自動車の労働組合が2013年8月20日と21日に部分ストを実施した。これを追うように傘下の起亜自動車労組も21日にスト入りした。労組側は180項目にも及ぶ要求を出し、その驚きの内容に社会的批判も強い。
現代自動車の労組と経営側は5月末から2013年の賃上げなどについて17回にわたって交渉を重ねてきた。しかし、双方がまったく折り合えず、労組は8月初めに交渉決裂を宣言し、ストをちらつかせて経営側を圧迫してきた。しかし、その後の接触でも双方の隔たりは大きく、2日間のストを実施した。
22日には労使交渉を再開したが、また決裂。23日から部分ストを再開することになり、いつ妥結できるかは、まったく不透明だ。
「純利益の30%を成果給に」「子供教育費補助の拡充を」など180項目
労組側の要求項目は何と180。これがメディアなどで報道されると、「いくら好業績でも・・・」との声があちこちで上がった。
ではどんな要求を出しているのか。
基本給の引き上げ額は13万498ウォン(1円=11ウォン)。前年実績の9万8000ウォンより高いが、業績が向上したことと、あくまで労組の要求ということで、この金額そのものには意外感はさほどない。
問題はその他項目だ。「成果給」として「純利益の30%の配分」を求めた。さらに前年の交渉で事実上の「60歳定年」で合意したばかりだが、これをさらに1年延長して61歳に引き上げるよう求めた。
日本ではあまりなじみがないのが「子供教育費補助」だ。前年の交渉で「子供3人までは、大学までの入学金と学費を全額補助」といううらやましいほどの条件で合意した。今年は、大学に進学しない子供に配慮して「大学に進学しない場合は、『技術取得支援金』として1000万ウォンを支援する」ことを要求した。
さらに賞与、退職金の引き上げ、一定期間以上勤務した場合に現代自動車の車両を購入する際の「社員割引」を最大30%から同35%に引き上げるという項目も入っている。新規の従業員採用や海外工場の建設の際には労組が事前に協議するという内容も盛り込んでいる。
労組の要求に、いくらなんでも「やり過ぎ」の批判
現代自動車は業績の向上とともに、毎年のように大幅に賃金を上げてきた。2012年の従業員の平均賃金は9400万ウォンで、もちろん韓国でもトップクラスだ。現代自動車は生産職の比率が高いなど単純比較はできないが、「朝鮮日報」によると、「サムスン電子の平均賃金は7000万ウォン、ポスコは6080万ウォン」というから、賃金水準は図抜けているとも言える。
利益額がサムスン電子に次ぐ「圧倒的な2位」だから、賃金水準が高いのも当然だ。経営側は、その点については認めているが、問題は労組の力が強く、ここ数年間「度を越した賃上げが続いている」との見方が社内でも強まっていることだ。