1 はじめに
4度改訂された防衛計画の大綱の年内策定が見えてきた。今般、自民党は安倍晋三首相に、年末に閣議決定される防衛計画大綱に対する画期的な提言を取りまとめ、提出した。
本提言は正に日本の安全保障・防衛に関するエポックメーキング的なものとなるであろう。防衛省・自衛隊創設以来の歪な防衛政策を改める大なる可能性を秘めている。本稿では、その提言内容を概観して、若干の私見を述べたい。政府においては本提言を最大限取り入れて、日本の安全保障・防衛を抜本的に正してほしいものである。
2 防衛計画の大綱を巡る最近の動向
安倍政権は、2013年1月25日、民主党政権が2010年末に閣議決定した「防衛計画の大綱」(22大綱)と中期防衛力整備計画(中期防)を2013年内に見直す方針を固め、現大綱は凍結され、中期防は廃止された。
これに伴い、防衛大臣は新たな大綱の策定を指示し、6月末を目途に中間報告をまとめるべく、鋭意検討を重ねている。防衛省は、「防衛力のあり方検討委員会」(委員長:江副聡副大臣)を設けて具体的な検討に着手し、近々に発表されるであろう。
一方、大綱などの見直しを公約として戦った自民党は、真剣な議論を重ね、国防部会・安全保障調査会の合同会議で防衛大綱に係る提言案を取りまとめ(6月4日)、6月11日岩屋安全保障調査会長等が総理大臣官邸を訪れ、提言を提出した。