“中国バブル崩壊”そんな記事が雑誌に掲載され、テレビのニュース番組もそのような特集を組んでいる。そこでは「シャドーバンキング」という耳慣れない言葉が使われているが、それは当局の監督を逃れた簿外融資を意味している。簿外融資は日本でバブルが崩壊したときにも問題になったが、中国の簿外融資は規模が違う。総額は、GDPの半分程度との報道も耳にする。おそらく、中国政府もその正確な額をつかみかねているのだろう。
今後、中国経済はどのような展開を見せるのだろうか。ここでは、少々大胆であるが、私なりの予測を述べてみたい。
不動産バブルを作った投資主体は地方政府
中国バブルの崩壊を考える上で決定的に重要なのは、土地が公有制になっていることである。中国の土地は基本的には地方政府が所有している。このことはバブル崩壊を考える上で極めて重要である。
中国の株式市場の時価総額は2012年の年末時点で366兆円(1ドル100円換算)であり、中国のGDPの45%に相当する。一方、中国の地価総額の推定は難しいが、筆者は昨年265.7兆元と推定した(拙著『データで読み解く中国経済』、東洋経済新報社、2012年、204ページ参照)。1元を16円として計算すると4251兆円になり、株式時価総額の11.6倍にもなっている。
筆者の推定が正しいと強く主張するつもりはないが、地価総額が株式時価総額を大きく上回っていることは事実であろう。
中国のバブルは不動産を巡って生じている。そして、その不動産の所有者は地方政府である。中国経済は資本主義のように見えて、その基本に計画経済がある。地方政府は中央政府が示す経済成長目標を達成しなければならない。そのために、消費や工業部門の成長が思わしくない時には、公共投資によって「つじつま」を合わせてきた。シャドーバンクからの借り入れの多くは、その費用に使われたと考えられる。
公共投資に無駄が多かったことは、地方に行くと立派な市庁舎や会議場などを目にすることからも分かる。また、それは「鬼城」と呼ばれる、人の住んでいない高級マンション街の建設にも使われたようだ。