前回、前々回と、終身雇用が崩壊し早期退職が常態化したる時代の「身の丈起業」についてお伝えしてきた。この短期連載の最終回である今回は、より具体的に起業のパターンや失敗の事例を見ていきたい。
ドラッカーが予言した「知的労働者独立の時代」
かつてドラッカーが、21世紀は知的労働者独立の時代だということを予言した。その予言が実現するかのように、今SOHOビジネスが増えている。なぜなら、ホワイトカラーと呼ばれる人々の生産手段は頭脳だからだ。
SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)という言葉のとおり、ITを活用すればどこでもビジネスをする態勢が作りやすい。だから様々な能力を持った人材が独立を決断し、SOHOネットワーク型でビジネスを始めている。
一時代前から見たら「身の丈起業」にとって本当に有利な時代になっている。頭脳を働かせてビジネスを行おうとするならば、情報の受信発信が容易にできる国や地域においては、ビジネスのインフラは間違いなく整っているわけだ。
身の丈起業、4つのライフスタイル
私は、定年を迎える前に自ら手を上げて退職し、自分の人生を意識した生き方を選ぶことをセカンドスタートと呼んでいる。
では、セカンドスタートをするに当たってあなたが選択できる「身の丈起業」とはどういうものなのか。それは「人生を起業する4つのライフスタイル」に集約できる。
右の図は、その働き方・生き方を4つの象限で表したものだ。
これら4つのライフスタイルを総称して「身の丈起業」と呼んでいる。まさに身の丈のサイズで自分の人生を作っていく働き方、生き方を指す。
この4つを比較すれば、収入を重視する方向に「独立創業」や「専門家ビジネス」があり、生き方を重視する方向に「社会貢献型事業」や「自己実現・趣味を生かす事業」がある。
当然、あなたには再就職という選択もあるわけだが、再就職という選択をしたときでも、この4つのライフスタイルを目指す意識を育てておかなければいけない。永遠には企業の中で働けないのだから、再就職してもいつか雇用の終わりが来る。そしてその先も自分の人生をより良く生きることが求められるのだ。
では4つの象限それぞれについて説明しよう。