前回の「いまや高リスク職業になったサラリーパーソン」に続き、今回は企業の人事政策の変化と、サラリーパーソンがそれにどう対応すべきかを見ていきたい。
総務省統計局労働力調査によると、2013年1~3月期の雇用者数は正規職員・従業員では3281万人。前年同期に比べて53万人の減少だ。非正規職員・従業員の数は1870万人で、前年同期に比べ65万人増加した。よって雇用者数総数は微増になっている。
雇用者(役員を除く)に占める非正規の職員・従業員の割合は36.3%と、前年同期に比べ1.2ポイントの上昇だ。従って、非正規を増やすことで調整しているという実態が見て取れる。
正規雇用者は確実に減り続けている
図1のように、バブルがはじけた後もトータルの雇用者数は伸びていた。正規雇用者数がピークとなるのは1997年であるから、1992年にバブルがはじけてから数年間、企業も何とか頑張っていたと言える。
しかし、結局1997年以降はどんどん減っている。人員を削減せざるを得ないところまで追い込まれて、非正規雇用者による調整という人事政策に移ったからだ。
日本企業の「正規雇用者を雇って、しっかり教育して、事業をする」という基本姿勢が明確に変わったのはバブル崩壊以降のことだ。これが統計にはっきり出ている。
個々の企業を見れば、頑なに日本的な雇用を守ろうとする企業も残ってはいる。だが大企業の大部分は早期退職を勧め、一方で非正規雇用に置き換える人事政策に転換しているというのが実態なのだ。
個人と企業はドライな関係に移行していく
ある意味で非常に皮肉に聞こえるのだが、近年、政府も企業も「ワーク・ライフ・バランス」ということを言い始めた。つまり働くことと生活することのバランスを、自分で取りなさいという標語だ。
以前は、自分が所属する社会の一員として忠誠を尽くせば保護されるという暗黙の了解が日本にはあった。だから日本人は所属感のある中で、安心な生活をしていたのだ。ところが、あなたの未来はあなた自身が自分でバランスを取りなさいと言われ始めた。つまり自立した人生を送れということだ。
自分の運命を企業や地域に預けて生きる、そんな生き方はもう成立しなくなった。自立した人生というものを本当に自分で考えなくてはいけない。そういう社会になってきているというのが現在なのだ。