「予想もできなかった原子力発電所の停止によって、ブラックアウトがないとは100%言えない状態だ」――。2013年5月31日、韓国の尹相直(ユン・サンジク)産業通商資源部長官は、記者会見を開いて沈痛な表情でこう語った。
2年前にブラックアウト直前に陥った韓国だが、再び閣僚がブラックアウトに言及せざるを得ない緊急事態に陥ってしまった。
6月初めから電力需給警報
2013年6月7日、ソウルは朝から気温が上昇し、ついに30度を超えた。蒸し暑く不快だが、それでもまだ本格的な夏の到来とは言えない暑さだが、ソウルにある電力取引所は朝から緊張感に包まれた。
午前9時14分に早くも予備電力が500万キロワットを割り込み、「電力警報」を出した。3日月曜日から、休日だった6日を除く毎日、「警報」が出る事態になった。
地下鉄やオフィスビルでは「エネルギー節約のため、温度を○○度に設定しており、ご理解をお願いします」という放送が流れる。
「まだ6月初めだというのに、真夏にはどういうことになるのか」。こんな声があちこちから聞こえてくる。
「安くて豊富な電力」は韓国が企業を誘致する際の最大の売り物の1つだった。ところが、一転して深刻な「電力不足」に陥っている。
「安全証明書」偽造で原発緊急停止
尹相直長官が「予想もできなかった事態」と語ったのは、原子力発電所の設備部品に対する性能確認試験の結果を認定する書類が偽造されていたことが判明したことだ。
原子力安全委員会は、偽造書類が発覚した部品を使っている新古里発電所2号機と新月城発電所1号機の稼働を中断させた。さらに、整備中だった新古里1号機については整備期間の延長を決めた。