米IDCが29日に公表した調査リポートが正しいとすれば、2013年はパソコン業界にとって大きな転換点となりそうだ。
同社の推計によると、今年の世界のパソコン出荷台数は3億2190万台で、前年から7.8%減少する見通し。3月初旬にIDCが公表していた従来予測では前年比1.3%減だったので、今回大きく下方修正したことになる。
もう高性能パソコンは要らない?
その理由として同社が挙げているのが1~3月期の出荷台数。これが予想以上に大きく減少した。
またメーカー各社が「ウィンドウズ8」搭載の新型機でさまざまな形態のモデルを用意しており、その中にはタブレット端末に分類される製品も含まれている。これも要因の1つという。
形状がタブレット型でもウィンドウズ8を搭載していれば、それはパソコンではないかという意見も聞かれるところだが、IDCの定義によれば、ウィンドウズ8を搭載していても本体がスレート状(板状)で液晶画面サイズが7~16インチであれば、タブレットという扱い。これは着脱式キーボードが付いていても同じとしている。
つまり米マイクロソフトの「サーフェス(Surface)RT」はタブレットになると同社は説明している。一方で中国レノボ・グループ(聯想集団)の「アイデアパッド・ヨガ(IdeaPad Yoga)」のような、ノート型にもタブレット型にもなるハイブリッド端末であってもキーボードが取り外せないものはパソコンに分類している。
いずれにせよ、利用者の間では今後、従来のノートパソコンのような高性能コンピューティング機器はあまり必要とされなくなるとIDCは見ている。
同社のアナリストによると、ウェブサイトやソーシャルメディア、電子メール、アプリといった用途では、それほど高い性能の機器や大容量のストレージが必要ないことに多くの利用者が気づき始めた。半面、バッテリーの持ち時間の長さや、起動時間の短さ、直感的なタッチ操作という点が重視されるようになり、利用者の関心はますますタブレットに寄せられるという。