今ペルシャ湾で、日米を初め41カ国の参加した大規模な軍事演習が行われている。参加する軍艦は35隻、兵士は6000人という史上最大の訓練だ。なぜ今、このような大規模な演習が行なわれるのだろうか?
その目的は、イランがホルムズ海峡を機雷封鎖した場合に、すみやかに機雷を取り除くことだ。イランは2000個以上の機雷を保有しており、かねてから「イスラエルがイランの核施設を爆撃した場合は、ただちにホルムズ海峡を機雷封鎖する」と宣言している。
ホルムズ海峡は日本の生命線
ホルムズ海峡はペルシャ湾の出口の最も狭い部分で、最短の幅はわずか33キロメートル、佐渡島と本州ぐらいの距離だ。ここにイランが機雷を敷設したら、そこを通って日本に輸入される原油の80%以上、LNG(液化天然ガス)の20%が止まる。
もちろん多国籍軍が機雷を除去しようとするだろうが、イランがそれを黙って見ているとも思われない。ここで戦争が始まったら、長期間にわたってタンカーが通れなくなる事態も考えられる。石油は備蓄があるが、原油価格は暴騰するだろう。
LNGは備蓄がないので、輸入量の2割が止まる。電力の40%をカタールから輸入するLNGに頼っている中部電力の管内では、計画停電が起こるおそれが強い。名古屋市の都市機能が麻痺するばかりでなく、トヨタ自動車やスズキなどの工場も操業停止を迫られるだろう。
そういう事態の起こる確率は低くない。イランはすでに2基の原発を稼働してプルトニウムを生産しており、2012年秋までには核兵器の製造に十分なプルトニウムを濃縮した、とイスラエルのネタニヤフ首相は述べている。