北朝鮮の軍事挑発にどう対応するか――。
日本でもアメリカでも、いまや最も切迫した危機的問題と言えるだろう。
この北朝鮮問題に関して「最大の元凶は中国だ」とする米国上院議員の厳しい指摘が、ワシントンの国政の場で新たな論議を広げた。この議員は中国の態度を正面から糾弾する一方、北朝鮮の核武装がこのまま進むと、東アジアで韓国や日本を加えての核武装競争が始まりかねないという警告を中国に対しても発した。
アジア歴訪で日本を真っ先に訪れた共和党有力議員
ところで国際問題を論じる際に、「米国は」という表現がいつも使われる。「米国が反対する」「米国が歓迎した」などなど、ごく簡単に使われる表現だ。だがこういう場合の「米国」とは正確には何を指すのか。誰のことなのか。
普通に考えれば、まず米国政府だろうが、国の代表ということならば立法府の議会の役割も大きい。あるいは米国民の多数派を指すことも考えられる。そもそも米国といっても、特定のテーマに関していつも意見が分かれ、一枚岩ではない。民主主義国家の特徴である。
だから米国では特定の外交問題、安全保障問題などに対しても、その反応は単一ではない。最も分かりやすい多様性は民主党と共和党の政策の違いだろう。日米同盟とか中国の軍拡とか北朝鮮の核武装というような、最近の日本にとっても関心の高いテーマでも、民主党のオバマ政権と、共和党の議会勢力との姿勢は当然ながらかなり異なる。その種の多様性がアメリカの強さでもあろう。
日本側として、何が米国の政策なのかを見るとき、もちろんオバマ政権の公式の態度が最重要とはなろう。しかしその態度とはまた違う共和党側の政策も重要なのである。政権の政策が野党の主張に動かされることは始終あるからだ。
さて、そんな説明をしたうえでの報告だが、野党の共和党の有力上院議員ボブ・コーカー氏(テネシー州選出)が、北朝鮮の軍事的な脅しに対して、オバマ政権とはかなり異なる意見をこのほど発表した。