米連邦取引委員会(FTC)が米アップルの商慣行について間もなく調査に乗り出すと欧米のメディアが報じている。FTCと米司法省はこれまでどちらがアップルの調査を行うか協議してきたが、6月の第2週になってFTCが調査することが決まったと、米ブルームバーグが事情に詳しい関係者の話として伝えている。
グーグル傘下の広告会社を締め出し
問題とされているのは、アップルが自社の広告ネットワークで米グーグルなどのライバル企業を締め出そうとしていること。
アップルは先頃、新型スマートフォンの「アイフォーン4(iPhone 4)」を発表したが、その際、同端末やタブレット端末の「アイパッド(iPad)」などに採用している基本ソフト(OS)の名称を「アイオーエス(iOS)」に変更。併せて同OS上で展開するアプリ内広告「アイアド(iAd)」に関する規約を改定した。
その中ではアップルは、アプリ内広告に必要なユーザー情報の利用を許可する企業について、「モバイル広告を主要事業とする独立したプロバイダーに限定する」とし、モバイルOSなどを開発している企業やその子会社には許可しないことにした。
これは、アイフォーン向けアプリなどのモバイル広告サービスを手がける米アドモブがアップル端末の広告市場から締め出されることを意味する。アドモブは米グーグルに買収された。先頃FTCがその買収を承認したばかりで、グーグル傘下の企業になった今、モバイル広告専業企業とは言えなくなった。
このアップルの規約改定を受けて、アドモブの創業者で最高経営責任者(CEO)のオマー・ハモウイ氏は、6月9日に自身のブログでアップルを厳しく非難した。
「これは開発者の収益を減少させたり、奪おうとする脅しの行為であり、規模を問わず様々な開発者に損害を与える。広告は無料アプリや安価なアプリを実現する支えになっており、消費者にとっても不利益だ」(同氏)としている。
そもそもグーグルによるアドモブの買収をFTCが承認したのは、アップルのモバイル広告市場参入により対立構図が生まれ、競争が促進されると判断したからだ。