住まいにおいて最も重要と思うことは何か? と問われたら、皆さんはどのようにお答えになるだろうか。

 平成20(2008)年の住生活総合調査(国土交通省)では、30ある選択肢の中で、住宅の周辺環境における「火災・地震・水害に対する安全」を重視する割合が最も高くなっている。また、「治安、犯罪発生の防止」に次いで「地震・台風時の住宅の安全性」も3番目に高い(下部、図表1参照)。

住まいにおいて最も重要と思うことは?

 一戸建て持ち家居住者と分譲マンション居住者とで比較すると、いずれも分譲マンション居住者の割合が低くなっている。

 なぜなのか、この結果のみでは一概に判断できないが、免震構造のマンションも普及してきていることから、災害に対して自分の住まいは安全だと思う分譲マンション居住者が、一戸建て居住者より多かったのかもしれない。

 しかし、倒壊した住宅こそ多くはなかったが、震度6強の揺れだけでなく、津波、液状化という被害を見ると、分譲マンションの方が安全であるとか、その逆であるといったことは誰も言い切れなくなっているのが現状であろう。

 いずれにしても、東日本大震災を経験した今、この割合はさらに高くなっていると予想される。そして、この調査時点で一戸建て持ち家居住者の3.9%、分譲マンション居住者の1.9%しか重視していない「近隣の人たちやコミュニティとの関わり」も、震災で絆意識が高まった現在は、もう少し高くなっているのではないか。

図表1 住まいにおいて最も重要と思う点

(注)一戸建て持ち家は、同調査における「持家・一戸建・長屋建」を、分譲マンションは、「持家・共同住宅」をそれぞれ読み替えている。不明を除く。
(資料) 平成20年住生活総合調査 国土交通省