ローマ教皇のベネディクト16世が、2月末日をもって辞任することになった。教皇という重責に耐えられるだけの体力がなくなったからだという。ベネディクト16世はドイツ出身の教皇で、2005年に就任した。もうすぐ86歳になる。
2月11日の教皇会議で、教皇自らが、居並ぶ枢機卿(教皇の最高顧問)たちの前でそれを発表し、バチカンはハチの巣をつついたような大騒ぎになった。そのような話があるということを、誰も知らなかったらしい。
そもそも、ローマ教皇は終身制だと皆が思っている。辞任してはいけないという規則はないが、普通はしない。前回の辞任の例はケレスティヌス5世で、1294年のことだという。
このときは後任が決まらず、2年間も教皇席が空っぽだったので、仮の措置としてケレスティヌス5世が選ばれた。しかし、選ばれた方も教皇職がいやで、半年で辞めてしまった。それ以後の教皇は、皆、死ぬまでその聖職を務めた。
避妊措置を理由に、暴行被害の女性患者を拒否したカトリック系病院
ローマ教皇、バチカン、およびカトリック教会をめぐる話は、はっきり言って、日本人には分かりにくい。21世紀に、そこだけ中世が漂っている感じだ。
プロテスタントの方は、特にここ数十年、さまざまな改革を実施してきた。教会内での男女の地位は平等だし、離婚も同性愛も認められている。かなりの数の牧師が女性で、女性の牧師にはレズも結構多い。
ちなみに、私の古い知り合いの女性も、牧師でレズビアンだ。それに対して賛否両論はあるにしても、いずれにしてもプロテスタントは、決して時代に乗り遅れなかったのである。
ところが、カトリックは「改革を!」という声は四方から挙がるものの、内実は一切動かない。聖職者は妻帯が禁じられており、もちろん同性愛など罪深いものは認めない。
教会内での女性の地位はゴミ同然。堕胎も避妊ももってのほかで、コンドームの使用も許さない。アフリカでエイズが蔓延してしまったのは、カトリック教会がコンドームの使用を禁じたからだという話がまことしやかに囁かれている。
紆余曲折の末、カトリック教会が、エイズ予防に限って、コンドームの使用を許可したのは、つい最近の話だ。ただ、避妊は許されておらず、そのためには使ってはいけない。