週刊NY生活 2013年1月26日第428号

 ニューヨーク州下院で15日、全米でも最も厳しい銃規制法案が賛成多数で可決され、クオモ知事が署名、即日施行された。共和党が過半数を占める上院でも14日に圧倒的多数で通過していた。26人が死亡したコネチカットのサンディフック小学校銃撃事件を受けての、全米初の銃規制強化法となる。

 これまでもニューヨーク州は全米でも銃規制に厳しい州とされていたが、さらに規制を強めた。規制対象となる襲撃用銃器の定義を広げたほか、弾倉に装填できる弾丸を従来の10発から7発までにした。

 また精神科医らに対し患者が危害を加える可能性がある場合は市や郡に通報する義務を課し、銃の登録データと照合後、問題があれば没収できるようにした。また、インターネットによる銃の売買も禁止、家族以外の者との売買の際は、厳格な身元照合が必要となる。

 クオモ知事は「一般常識に基づく」対策と語っているが、ロビー団体の全米ライフル協会(NRA)は同日、「これまでの法律を守ってきた州民の権利を踏みにじるものだ」と反発。

 オバマ大統領は16日、銃規制強化案を発表した。軍隊で使うような襲撃用銃器の新規製造・販売の禁止、個人売買を含めたすべての購入希望者に対する身元調査などが盛り込まれた。

 また大統領は、銃規制を訴える手紙を出した4人の子供やサンディフック事件の遺族が見守るなか、議会の承認が不要な23項目からなる大統領令に署名した。銃規制の法整備に先立つもので、学校警備員の増員、精神医療や銃犯罪防止の研究などを支援する内容。

 大統領は直ちに銃規制強化案を議会に提案するとしているが、全米ライフル協会の力は強く、共和党は武器を所持する権利を認めた憲法修正第2条に抵触すると反発するなど、規制案がすべて通るのは困難と見られる。

NYが嫌ならテキサスにおいで、銃も買いたい放題PR

 ニューヨーク州が全米で最も厳しい銃規制を可決した翌日の16日、テキサス州のグレッグ・アボット司法長官がニューヨーク州の銃保持者に向けてテキサス州への移住を歓迎するインターネット広告を打ったことが明らかになった。複数のメディアが伝えた。

 マンハッタンとオルバニー在住のウェブユーザーに向けて発信された広告は2種類。

 「法を遵守するニューヨーク州の銃保持者は税金が低くさらに有利な条件を探している」「クオモ知事はあなたが銃を取ることに期待しているか?」とそれぞれ書かれたコピーをクリックすると、「You'll fit right in here in Texas! KEEP YOUR GUNS, COME TO TX(あなたはテキサス州にぴったりの人材です。銃を持ってテキサスに移住しましょう)」とのキャッチコピーのフェイスブックページに移動、「テキサス州は、自由で夢を実現する機会が豊富です。所得税がなく、環境規制も理に適っており、昨年だけでも27万5000の雇用を生み、新たな銃を買えるだけのお金が稼げます」とし、「とりあえず、憲法修正第2条支持の署名をしましょう」と結んでいる。