12月16日放送の『やすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、元衆議院議員の中山正暉氏が独自の視点から日韓、日露関係などについて解説した。

本物と偽物の政治家を見分ける視点が必要

中山(正暉)今日12月16日、第46回衆議院総選挙の投開票が行われ、新しいリーダーが誕生することになりました。

ラフカディオ・ハーンの肖像(ウィキペディアより)

 では、有権者である私たちはこの先の政治をどう見ていかなければならないか。明治時代に活躍した作家・小泉八雲(本名:パトリック・ラフカディオ・ハーン)の怪奇文学作品集「骨董」の「常識」という作品をご紹介しながらお話ししたいと思います。

 その昔、寺にいた和尚のところに毎夜白い象に乗った普賢菩薩が現れたそうです。ある日、和尚と親しい1人の猟師が寺を訪れると、和尚は猟師にも普賢菩薩を拝んでいくように勧めます。

 そこで夜、2人で一緒に待っていると、白い象に乗った普賢菩薩が姿を見せました。しかし何を思ったのか、猟師が突然立ち上がり弓を手に持って矢を放ったのです。矢は普賢菩薩の胸に突き刺さり、普賢菩薩はもんどり打って闇の中に消えていきました。

 驚いて怒った和尚は「射殺すとは何ごとだ」と問いただしました。すると猟師は答えます。

 「あなたは徳もあるし、読経もできて知識も豊富ですが、私は殺生もすればお経を読むこともできません。その私にも普賢菩薩の姿が見えるとはおかしい。明日の朝、姿を確かめるまで待ってください」と。

 翌朝、点々と続く血痕をたどって山へ行くと、洞穴の中に矢で射抜かれた大きな狸が死んでいたという話です。

 この物語を通じて小泉八雲は何を伝えようとしているのでしょうか。

 つまり、和尚は学があり修行も積んでいるけれども、本物と偽物を見分ける常識がなかった。それに比べて猟師は何も知らない無学な人間であったが、本物を見抜く確かな常識を持っていたということです。

 衆議院選挙で当選した議員には国政の場での活躍を期待しますが、皆さんにも是非、本物と偽物の政治家を見分ける目を養っていただきたいと思います。