デジタルマーケティングの国際カンファレンス「ad:tech Tokyo 2012(アドテック東京)」が、10月30~31日に開催された。4回目となる今年の ad:tech Tokyo には延べ2万人を超える来場者があったという。
フェイスブック本社のマーク・ダーシーさんや、ユニリーバのバブス・ランガーヤさん、ギャップのトリシア・ニコルズさんなどによる基調講演、数多くのパネルディスカッションやプレゼンテーションがあり、非常に充実したコンテンツが展開された。
また、デジタルマーケティングに必須なツールやソリューションの展示も多く、私もいろいろと新しい情報を入手して、多くのことを考えさせられた2日間となった。
そして、実はこの原稿を11月7~8日に行われた ad:tech New York(アドテックニューヨーク、以後 ad:tech NY)に参加した後の帰りの飛行機の中で書いている。
なぜ、ad:tech Tokyo の後、すぐに ad:tech NY に行ったのか? そんな疑問を持つ読者に向けて、現在の日本のマーケティング、いや社会人が抱える問題を説明してみたい。
デジタルマーケッターと既存マーケッターの間に横たわる溝
ad:tech NY に行った理由は明確である。それは、日本のマーケティングの改革が進まないからだ。
私は、企業人としては花王のデジタルマーケティング領域の仕事をしている。また、Web広告研究会の代表幹事として多くの日本のマーケティングを牽引してきてくださった先輩や、現在マーケティングの領域で苦労されている方々に出会えるチャンスをいただいている。
そのような立場で経験したことや考えたことを基に、いつもこの記事では素直に自分の感想や意見を述べているが、実はこれまで書いていないことがある。
それは、デジタルマーケティングに携わる人は現状に不満があり、既存のマーケティング領域にいる人は、マーケティングを変えなければならないと考えてはいるものの、デジタルマーケティングを勉強しようと思っていないことである。
私の目から見ると、デジタルマーケッターと既存のマーケッターの間には大きな溝がある。そして、両者の間にはお互いに対する嫌悪感すら存在しているのではないだろうか。両者とも不満を口にし、相手が悪いと思っているのではないだろうか。
しかし、そんなふうに日本の中で争う余裕は無く、むしろ戦う相手が間違っていると私は言いたいのだ。現在は、ワールドワイドなビジネス競争の時代である。