最近は出会い系サイトに押され気味だが、数年前、パリでは「スピードデート」という集団お見合いイベントが盛んだった。男女の参加者が5分ごとに相手を変えて自己紹介やちょっとした会話を楽しみ、気の合いそうなデート相手を見つけるというもの。このイベントにヒントを得た、愛犬のためのスピードデート「ドッグデート」が、5月30日にパリで初めて開催された。
「犬のお見合い」と言っても、犬同士が出会うためではない。休暇中にペットを預かってくれる人、毎日の散歩代行など、ペットシッター探しの場だ。
ペット大国、バカンス中のペットの世話が悩みのタネ
フランスは欧州一のペット大国。ペットとして飼われている犬は780万匹、猫1070万匹で、半数以上の世帯が犬猫のペットを飼っている計算になる。人生の伴侶として、良き友としてペットは家族同様の存在。だから、愛犬と一緒に食事を楽しめるカフェやレストランもたくさんある。
その一方で、フランスと言えばバカンスの国。毎年8月になると、多くのフランス人が1カ月単位で夏休みを取って旅に出る。南仏の海辺やアルプス山脈の麓の避暑地に行ったり、外国旅行で休暇を満喫する。
長期休暇の最大の悩みのタネがペットだ。車での移動ならばともかく、飛行機での旅だと連れて行くのが難しい。また、ペットと一緒だと行き先が限られるなど面倒なことが多くて、休暇を十分に楽しめないと思う人もいるようだ。
そのため、毎年夏の大型休暇前にペットを託せる家族や友人、ペットシッターを探すのも、また、フランス人の恒例行事のようなもの。ただ、預かってくれる人を見つけられなかったり、あまりにも費用がかさむと、高速道路の脇にペットを捨ててしまう人も少なくない。
年間10万匹以上の犬猫が見捨てられるというのだから、問題は深刻だ。動物愛護団体のSPAなどがいろいろな手を尽くしているが、捨て犬、捨て猫の数はなかなか減らず、悪習慣となっている。
愛犬家同士の相互扶助をお手伝い
もちろん、多くの飼い主は家族としてペットを愛しているし、できることならば最後まで飼い続けたいと思っている。要は、信頼できる、きちんと世話をしてくれるペットシッターと巡り合うチャンスがもっとあればいいのだ。そこで、スピードデートの方式を応用したペットとシッターの出会いの場をつくろうと考えたのが、犬猫のシッターサービスでフランスNo.1のガルディカナン(Gardicanin)社の創立者のジュリアン・ミュラー氏。