10月23日、「全国がん(成人病)センター協議会」は胃、肺、大腸、乳、子宮頸(けい)の5部位のがんについて、 病院別の5年生存率を公表しました。

 受診する病院によって生存率が異なることが明らかになり、一部メディアでは「病院間で生存率に最大33%(肺がんの場合)差がある」との見出しで報道されました。

 公表されたデータの解釈は後ほど触れますが、リンク先をチェックしていただくと、違和感を感じることがいくつかあります。まず、情報を閲覧する前に「Q&A」および「データについてのコメント」を読んで、同意ボタンをクリックしないと情報ページにアクセスできないのです。

 さらには、膨大な労力を払って集計されたデータにもかかわらす、各病院のホームページからこのデータにアクセスするリンクが張られていません。

 データに詳細な注釈が付いていること、そして病院ホームページからこのデータにリンクが張られていないことの理由は何でしょうか。

 おそらく大きな理由の1つは、9月28日に厚生労働省が公表した「医療機関のホームページに関するガイドライン」にあるのではないかと思われます。

 そこには、「他との比較等により自らの優良性を示そうとする事項」は「仮に事実であったとしても優良性について国民・患者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあるものでありホームページに掲載すべきでない」と明記されているのです。

医療機関のホームページは過大広告や虚偽記載があふれている

 現在の日本では、病院担当医の顔写真や経歴、診療実績などをネットで検索して自分で病院や担当医を選ぶのが当たり前の時代です。

 でも、実は医療機関のホームページは医療法規制の対象になっていません。そのため、ある意味、過大広告や虚偽記載があふれているのが実情です。

 一例として一番注目されることが多い、診療実績(どれだけ手術や検査を行っているか)の記載を見てみましょう。

 多くの病院は手術件数を直近1年間の数値で記載しています。しかし、これを3年間分の件数で記載して、手術件数を多く見えるようにしている施設もあります。