いよいよ参議院選挙が迫ってきました。
5月24日 民主党が参院選の公約として「2012年度の改定で診療報酬を引き上げる」ことを掲げる、という報道がありました。医師不足や医療過疎の解消には、医師らへの一層の支援が必要だと判断したとのことです。
しかし、この報道、よく読むと参院選公約には「引き上げ幅などを示さず、予算編成時の財務状況を見て決める」との文言が付いています。
さらには、医療産業を雇用創出のための成長分野と位置づけ、「メディカルイノベーション」のための予算も付ける方向のようです。
見出しだけ見ると「診療報酬の引き上げを民主党が公約に明記」ということなります。しかし、この公約ではとても医療崩壊を食い止めることはできないでしょう。
財源確保の議論なしでどうやって診療報酬を引き上げるのか
鳩山由紀夫前首相は1年前の衆議院選の前の党首討論で、「診療報酬を2割ほど上げないと(医療崩壊を食い止めるのは)厳しいと感じている」と述べました。
本当に医療崩壊を食い止めようと考えていて、診療報酬を経済協力開発機構(OECD)の最低ランクから平均レベルに向けて2割引き上げようとしているのであれば、実行するのは簡単です。
普天間基地の移設問題のように代替地を一生懸命探したり、米国や地元住民や市長や知事たちとの対話を何度も繰り返す必要もありません。
「1点=10円」と設定されている診療報酬を、単純に「1点=12円」にするだけです。政府機関お得意の通達1本ですむことです。
しかし、2010年度の診療報酬改定は2割アップどころか、マイナス改定を食い止めるだけ(実質プラス0.03%)でした。これは、子ども手当の月2万6000円の実行を見送ったのと同じく、財源の確保ができなかったからです。